2. 交換経済での理想的な資源配分とは?【エッジワースの箱】

一般均衡理論

 部分均衡理論では1財について、無差別曲線生産可能性フロンティアでは2財について、考えました。

 では、2財の市場はどのように考えることができるでしょうか?

 ここでは、価格メカニズムを用いずに、どのような状況が社会的に望ましいのかについて議論します。

1、エッジワース・ボックス

(1)必要な表現方法

 2財2消費者ですので

消費者A消費者B
1財の量
2財の量

の4つの情報(表での?)を考える必要があります。

 もちろん、表や数式で考えるのもいいですが、もっと視覚的に表せて、無差別曲線や生産可能性フロンティアとも相性の良い表現方法があります。

 エッジワース・ボックスです。

 エッジワース・ボックスではつぎのように4つの情報をまとめることができます。

 簡単でしょう?

(2)解釈の方法

 ではどのように解釈するのでしょうか?

 これはつぎのように4つの情報が含まれている表現になります。

 横軸が1財、縦軸が2財、左下からの距離が消費者A、右上からの距離が消費者Bを表しているのです。

2、交換経済のモデル化

(1)パレート改善

 ここからは交換経済をモデル化しましょう。

 貨幣を媒介した交換ではなく、「あげる」「もらう」の合意形成だけで、モノが取引されると考えます。

(別記事で貨幣を用いるとこれがスムーズに進むことを説明します。)

 ここでの取引原理は

  • 前提:どちらかも損しない場合のみ取引する
  • 前提を満たした上で、片方or両者が得する場合は取引する

です。これをパレート改善と言います。

(2)効用

 さて、ここで重要なことがあります。

 例えば、消費者Aにとって

  • 消費計画ア:ラムネ8個アメ1個

より

  • 消費計画イ:ラムネ5個アメ3個

の方が効用が大きいとき、ラムネを3個失って、アメ2個もらうのは、「得」です。

 たしかにラムネだけに限って見れば、損してますが、全体として得しています。したがって、消費者Aはア→イの条件を提示されれば受け入れます。

(3)無差別曲線での理解

 効用と消費の関係を無差別曲線で考えます。

 例えば、下図のように初期保有が決まったとします。

 消費者Aにとっての、初期保有と同じ効用の無差別曲線が緑だとします。

 すると、他の消費パターンの効用は、下図のようになります。

 消費者Bについてもいうことができます。

 ただ、消費者Bは原点が右上なので、無差別曲線は逆になります。

(4)パレート改善の図示

 すると、両者の初期保有での無差別曲線で囲まれた部分に移行すると、両者の効用は同時に改善します。

 これがさきほどの

  • 前提:どちらかも損しない場合のみ取引する
  • 前提を満たした上で、どちらかが得する場合は取引する

というパレート改善に対応しています。

 

(5)パレート最適

 では、パレート改善を続けるとどうなるのでしょうか?

 最終的にパレート改善できない点つまり

  • どちらかが得するには
  • どちらかが損しないといけない

というパレート最適になるのです。

 ここでは、下図より

  • 消費者Aの限界代替率=消費者Bの限界代替率

が成り立っていることがわかります。

 これが両者にとって最もよい状態です。

3、生産経済のモデル化

 さきほどは、もともと社会に財が存在する純粋交換経済でした。

 その財を生産するところから考える生産経済をモデル化しましょう

 まず、企業が生産できる限界があります。

 これは生産可能性フロンティアで図示することができます。

 企業が生産すると1財と2財の総量が決まります。

 企業は限界までかんばり、消費者Aと消費者Bにうまく分配されると、次のように表せます。

 これが2財の生産経済の図示になります。