15.AD-AS分析/ 労働市場への拡張

 IS-LM分析では、財市場貨幣市場から決定される総需要に限定して議論しました。

 しかし、労働市場物価の変動がいまいち掴めないモデルでした。

 そこで、IS-LM分析労働市場を導入し、需要サイドと供給サイドを分析。均衡物価を導出します。

1、総需要曲線(AD曲線)

(1)財市場と貨幣市場で決まる国民所得

 財市場貨幣市場で決まる国民所得は、IS-LM分析によって導くことができます。

 これが総需要になります。

(2)物価変動の影響

 ここで物価が下落したとしましょう。

 物価下落は、実質マネーサプライM/Pを上昇させます。

 いわば、金融緩和と同じです。

 したがって、LM曲線が下シフトし、国民所得が上昇します。

 ここでは、利子率の下落と、投資喚起による総需要増大が起こっています。

(3)総需要曲線

 したがって、物価下落は総需要の増大をもたらします。

 これを図示すると、次のような右下がりの総需要曲線が描けるわけです。

2、総供給曲線(AS曲線)

(1)総供給はどう決まるか

 生産要素には資本労働がありますが、短期的には資本を変えることはできません。

 ここでは、労働に注目します。

 労働が増えれば国内総生産は増え、労働が減れば国内総生産は減ります。

(2)労働市場の基本

 労働市場では、実質賃金w/pによって労働需要と労働供給が調整され雇用が決定されます。

 なお、労働市場についてはつぎのように考えます。

  • 名目賃金には下方硬直性がある。つまり、労働組合や最低賃金法のためにある一定ラインよりは下がらない
  • 名目賃金は上方伸縮性がある。つまり、人が足りない時はどんどん賃金をあげてでも人を集めようとする

 これを覚えておいてください。

(2)物価が高い場合

 さて物価が高いとき、どうなるでしょうか?

 物価が高いので、実質賃金(=名目賃金÷物価)は低くなります。

 けれども、企業のニーズ(労働需要)が大きくなり、人材の争奪戦が行われます。

 名目賃金は上昇し、最終的に均衡点に達します。

 ですので、物価が高い場合、雇用は一定です。

(3)物価が低い場合

 物価が低い場合はどうでしょうか?

 実質賃金(=名目賃金÷物価)が高くなるので、企業のニーズ(労働需要)は小さくなります。

 もし名目賃金を下げることができるなら、需給均衡を達成できますが、名目賃金には下方硬直性があります。

 ですので、結局、実質賃金は高止まりします。

 この結果、失業が発生します。

(4)総供給曲線(AS曲線)

 総供給曲線はどうかけるでしょうか?

 物価が高いとき、物価が少しずつ上がっていくと、名目賃金も少しずつ上がるので、雇用は一定です。

 結果、国内総生産は変わらないです。

 このとき、完全雇用になります。

 物価が低いとき、物価が少しずつ上がっていくと、実質賃金が少しずつ下がるので、雇用が増えていきます。

 結果、国内総生産は上がります。

 このとき、不完全雇用になります。

3、物価と国内総生産の決定

 最終的に、物価と国内総生産は次のように決定されます。

 これが財市場・貨幣市場・労働市場を睨んだマクロ経済モデルの斬泰造です。

4、経済政策

(1)総需要管理政策

 ここで、財政政策金融政策の効果を確かめます。

 物価が変動しないとして考えます。

 すると、拡張財政・金融緩和は総需要を増大させますので、総需要曲線の右シフトになります。

 下図のような場合、多少のインフレをともないつつも、完全雇用が達成されることがわかります。

 一方で、過度な総需要管理政策は、国内総生産を全くあげない一方で、インフレを起こしてしまいます。

 したがって、好景気で完全雇用が達成されているときは、拡張財政や金融緩和をすべきではありません。

(2)供給サイドへの政策

 ただし、総需要管理政策では、国内総生産を一定以上に伸ばすことができません。

 あくまで完全雇用を達成する手段です。

 国内総生産を増大させるには何が必要でしょうか?

 では、総供給曲線をシフトさせることを考えます。

 総供給曲線を右シフトさせるには、労働市場において労働供給曲線(余暇の限界不効用曲線)と、労働需要曲線(労働の限界生産性)を右シフトさせる必要があります。

 余暇の限界不効用は、個人の感じ方ですから政府は変えることはできません。

 ここで重要になるのは、労働の生産性上昇です。

 労働需要曲線が上にシフトすることで、完全雇用とそれに伴う実質賃金が上昇します。

 すると、これはつぎのように総供給曲線の右シフトで表すことができます。

 下の図では

  • 国内総生産の上昇
  • 失業の発生
  • 物価下落

が発生しています。

 このようにして、労働生産性をあげることで国内総生産を増大させることができます。

IS-LM分析
交流スペース(感想など!)
読者127642
読者127642
社会における学校の役割って何でしょうか
読者127642
レポートにまとめないといけないのですが、序論から思いつきません(´;ω;`)
しまうま
127642さん、コメントありがとうございます。最重要な視点は「⓪親はなぜ十分な教育を子供に与えることができないのか?」という問いです。すぐに思いつく答えは「⓪親は質の高い教育ができないから」ですが、「①昔のように家を継ぐ場合」はそんなことないですし、「②できなければ家庭教師をつければいい」のです。
しまうま
となると、①から「①現在は高度な産業社会で職業の自由があること(需要)」、②から「大人数で教育することで費用を分担する(供給)」という存在理由が見えてきます。
しまうま
しかし、なら私立学校で十分です。公立学校の存在意義を考えるには、「③教育の効果を親が過小評価しがちなので「賢い政府」が適切な教育を施す必要がある(効率性)」「④教育の効果を把握していても貧しい親は教育費用を負担できず不公平が生まれる(公平性)」というのも大きな理由です。
しまうま
とはいえ、一番書きやすいのは①でしょう。近代化による産業の高度化、公教育の開始などについて調べてみてはいかがでしょうか?
読者127642
返事がいただけるとは思ってなかったです(´;ω;`)ありがとうございます!ちなみに、先生から出されたテーマがその社会における学校の位置づけ あるいは 学校の中で生活することが個々人にとってどのように機能しているか なんですが、そのテーマから問題を探すんですか(@_@。? レポートを書くのが初めてで何もわからなくてすみません(;_;)
しまうま
いえいえ、コメントいただけると嬉しいので笑 前者のテーマでは学歴社会・産業社会・文化の継承、後者は青春の思い出・人格形成・社会人になる準備みたいな視点がぱっと思い浮かびますね。1〜2枚程度の軽いレポートでしたら割と適当に書いてよいと思います。
読者127642
1~2枚くらいでいいんですが、軽く適当にがわからなくて(´;ω;`)
しまうま
図書館の「教育」のコーナーに行って、2〜3冊くらい借りて読んでみてください。それで論点と理屈と結論が思い浮かんだら、それをレポートに書きましょう。根拠として本や統計の引用をして参考文献録をつけたらレポートの完成です。
読者127642
ありがとうございます!明日学校の図書室に行って本調べてみます(#^^#)
読者127642
しまうまさんみたいにレポートの達人になりたい…
しまうま
ちなみに大学1年生ですか?
読者127642
専門学校1年生です
しまうま
そうなんですね!慣れないレポートで大変かと思いますが、頑張ってくださいねd(^_^o)
読者127642
単位のために!これからも出るであろうレポートと仲良くなるために頑張ります!このサイト作ってくれてありがとうございます(#^^#)
読者134565
TENETの解説わかりやすかったです
しまうま
134565さん、ありがとうございます!
読者147170
うえーい
読者147784
むっずかしい
読者149700
敵があった銃弾の行方だけ分かっていないんですよね。敵の撃った銃弾は後ろ歩きしていったニールに張り付いていたことになるのでしょうか?
しまうま
149700さん、ありがとうございます。ニールは生きていますから、銃弾は貫通してドアに刺さっているはずですというのが答えになると思います。しかし、この問いはテネットの抱える矛盾の一つです。ドアが作られた時に銃弾も一緒に作られていることになるからです。同じような例が高速道路のカーチェイスにあります。ドアのミラーから銃弾が「抜かれる」ようなシーンがありますが、自動車工場でミラーに銃弾を埋め込んで製造したことになります。これは明らかにおかしいです
読者150373
回答ありがとうございます.ニールが庇ったところから貫通していたとすると主人公に結果当たってしまうのではないかといったところも気になりましたが,やはり多少の矛盾は出てきてしまうのは避けられないのかもしれませんね.事象としては理解できました.ありがとうございます.
しまうま
いえいえ、こちらこそコメントありがとうございました!
読者155126
てすと
読者155263
価値観の多様性→能力の多様性
読者161258
わかりやすい!公務員試験対策に活用しています。ありがとうございます。
しまうま
161258さま、ありがとうございます。がんばってください!
読者161940
フランスを追加して欲しい
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