【ソロー・モデル】貯蓄率が経済成長に及ぼす影響

経済成長(マクロ経済学)

 「日本の高度経済成長は、高い貯蓄率が支えた。」

 としばしば言われます。

 しかし、貯蓄率は、経済成長にどのような影響を与えるでしょうか?

 この記事では、分析のために経済学部で習うマクロ経済学において最も重要な理論のひとつであるソロー・モデルを用います。

 結論からいえば、

  • 高い貯蓄率は、定常状態の一人当たりGDPを高水準にする
  • 低い貯蓄率は、定常状態の一人当たりGDPを低水準にする

と言えます。

 これについてこの記事では解説します。

1、貯蓄と経済成長に関する経済学的な準備

 まず、経済成長・貯蓄・貯蓄と投資について経済学的な考察を簡単に加えます。

(1)貯蓄の定式化

 まず、貯蓄を定式化しましょう。

 ここでは「貯蓄率」を用います。

 貯蓄率とは、所得の中からどのくらいの割合を貯蓄に回すかを表すものです。

 例えば、1000万円の所得がある人が300万円を貯金したら貯蓄率は0.3となります。

(2)貯蓄と投資の関係

 では、貯蓄はどのような役割を果たすのでしょうか?

 ソロー・モデルでは閉鎖経済を想定するので、投資と貯蓄は等しくなります。

 なぜなら国内総生産は、次のように表すことができるからです。(くわしい理由→投資と貯蓄のバランス論

貯蓄が投資と等しくなるマクロ経済学的理由

(3)経済成長の結末

※詳しくは→「ソロー・モデルの定常状態

 ソロー・モデルでは、経済成長は最終的に定常状態に帰着すると考えます。

 具体的には、図の黒点で一人当たり資本量が決定されます。

 さらに、一人当たり資本量が決定されると次のように一人当たりGDPが決定されます。

3、貯蓄率の果たす役割

 ソロー・モデルにおいて、貯蓄率はどのような役割を果たすのでしょうか?定常状態を念頭に考えましょう。

(1)貯蓄率が高い場合

 貯蓄率が高い場合、定常状態は右へ移動し、一人当たりGDPの水準は高くなります。

 これは貯蓄が銀行に集められ、銀行が企業に貸し付け、企業が新しい投資を行うことから生まれます。

貯蓄率上昇の影響

(2)貯蓄率が低い場合

 逆に、貯蓄率が低い場合、定常状態は左へ移動し、一人当たりGDPの水準は低くなります。

 これは銀行にお金が集まらないために、貸し付けができず、企業が新しい投資をすることができないからです。

貯蓄率減少の影響

(3)高い貯蓄率の重要性

 ここから「一人当たりのGDP」を高めるには貯蓄率が高いことが重要であることがわかりました。

 しかし、いくら貯蓄しても消費しなければ意味ありません。

 では、最適な貯蓄率はいくらでしょうか?

 これは別記事「理想的な経済成長とは?ソロー・モデルでの黄金律」で解説します。

4、貯蓄率に関する例題と解答

 最後にソロー・モデルの貯蓄率に関する例題と解答解説をします。

 ぜひ参考にしてください。

貯蓄率に関する例題
貯蓄率に関する解答