PretenderはOfficial髭男dismが2019年5月にリリースした曲。
「Pretender」でヒゲダンブームを巻き起こし、2019年NHK紅白歌合戦出場を決めた。
ミュージックビデオの撮影場所は台湾。電影院とは中国語で映画館のこと。曲の原題は「グッバイロマンス」。
いざ始まれば ひとり芝居だ
冒頭の「ラブストーリーが、ひとり芝居であること」が重要な手がかりになる。
主人公の男は、ある人のこと好きなんだ。だけど、相手からはナチュラルに相手にされてない。だから、彼の恋は、ひとり芝居にすぎない。
もっと違う世界線
それをこの男は理性的に見てしまう。
相手と自分が釣り合わないからって諦めちゃう。だから、
もっと違う設定で もっと違う関係で 出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で愛を伝えられたらいいな
藤原聡「Pretender」
と歌う。
グッバイ
だから、自分の気持ちにキリをつけなきゃいけない。それが「グッバイ」だ。
そもそも付き合ってないので、「別れる」って意味ではない。「グッバイ」は、「好きって気持ちを手放す」という切ない感情だ。
僕にとって君は何?
ただ、彼も人間で、理性とココロは違う。
「僕にとって君は何?」の答えは、
- ココロにとっては「好きな人」
- 理性にとっては「なんでもないタダの知り合い」
けれど、ココロは理性に勝る。結局、彼は「なんでもないタダの知り合い」と思ってるフリ(英訳:pretend)しかできない。
君は綺麗だ
理性とココロに真っ二つにされ、絞り出したセリフが次だ。
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
藤原聡「Pretender」
「綺麗」は、単に外見が優れていることの表現で、そこに好意は入るとは限らない。「普通の知り合い」にも使える。
「好き」と言えない彼は、「綺麗」と言うことしか出来なかったんだ。
複雑なキモチ
あとは、同じことの繰り返しだ。
- 好きな子がいる
- 釣り合わない自分がいる
- 辛いから、好きって気持ちを隠したい自分がいる
- だけど、やっぱり好きで「君は綺麗だ」としか言えない
なんなら、最後は「と・て・も綺麗だ」。
彼の諦めようとするが、諦められない恋が終わるのはまだ先だ。
彼にとってのゴールは、恋の成就じゃなくて恋の終わり。そういう恋愛以上、失恋未満の切なく辛い気持ちを歌ったのが「Pretender」だ。
Pretenderは、「好きじゃないふりをして、高嶺の花を諦めようとする草食系男子の恋」の歌なのだ。
原題の「グッバイロマンス」との整合性もある。間違いない。

Traveler[通常盤]/2019年発売アルバム. Pretender、Stand by you、宿命、イエスタデイなどを収録
