【経済学】独占企業はどう利潤を最大化するか?

独占・寡占の理論

 通常の経済では、完全競争での消費者と企業を分析します。

 これは現実が完全競争であるからというよりも、わかりやすさのためです。

 では、不完全競争である独占企業の場合(供給独占・売り手独占)はどうでしょうか?

 独占企業がどのように利潤を最大化するのかを、完全競争の場合と比較しながら解説します。

 

1、独占企業とは

 独占企業とは、一般には巨大企業を意味します。

 ただ、経済学では、その財を生産する企業が1社しか存在しない場合に、独占企業といいます。

 ここでは、「すべての経済主体は市場価格を受け入れるしかない(プライステイカー)」を意味する完全競争は崩れ、不完全競争になります。

 簡単にいうと、独占企業は「これは100万円」と値付けすることができる企業です。

よくある疑問と不誠実なスルー

 「あれ?普通の企業って価格決定してるけど、独占企業じゃないよな?」と思われた方、とても鋭い視点です。

 ただ、経済学の議論を先に進めるために「まあ、でも他社の価格設定を参考にして決めてるから、完全に価格支配力をもってるわけじゃないか」と考えてください。

2、独占企業の経営モデル

(1)完全競争下での一般企業

 まず独占企業を考える前に、一般企業の経営行動について整理します。

 まず、社会全体では、市場供給曲線市場需要曲線の交点で、市場均衡となります。

 市場均衡では、価格と数量が決まります。

 市場には無数の企業と消費者がいますから、1経済主体がどうこうあがいても変わりません。

 ですので、1企業視点では、市場均衡での価格は受け入れるしかありません。

(プライステイカー)

  • 市場価格より高い→買ってくれないので、損
  • 市場価格→買ってくれる
  • 市場価格より低い→買ってくれるけど、損

という具合です。

 そうなると、1企業視点では市場環境は次のように見えています。

 市場価格×量=収入

 限界費用の合計=費用※1

 ですので、黄色の三角が利潤になります。

 生産量を調整していき、利潤※2が最大になるのは、

となる点です。なお、限界とは、「追加的に1単位増産した時の」という意味です。

 完全競争では、増産しても最適な価格は変わらないので、

となります。

 通常は利潤最大化を

  • 価格P=限界費用MC

と考えますが、その背景には限界収入MR=限界費用MCがあったというわけです。

※正確には、※1=可変費用、※2=利潤+固定費用です。ただ、利潤最大化と、※2の最大化は同じ生産量で達成されます。

(2)独占企業の行動

 では、独占企業はどうでしょうか?

独占企業視点の需要曲線

 独占企業は1社しかいませんから、需要曲線は下のように傾いています。

 そして、自由に独占価格を決めることができます。

 例えば、下の場合、利潤と費用は下のようにかけます。

限界収入=限界費用で利潤最大(再掲)

 では、どの点で利潤最大化が達成されるでしょうか?

 数式としては

  • 限界収入MR=限界費用MC

です。

限界収入曲線

 これはつまり、限界収入曲線はどう引けるか?と言う問題になります。

 生産量が増えた分の増収が見込めますが、価格を低下させる必要があります。

 すると、これまでせっかく高く売ってた財も安く売る必要があります。

 結果、下図のように需要曲線の下に限界収入曲線が引かれます。

独占価格と生産計画の決定

 結論としては、

  • 限界収入=限界費用

となる点で生産計画が決定され

 その生産計画と需要曲線の交点独占価格が決まります。

 これが独占企業の経営行動です。