青柳音羽は赤色ゲリラ掃討戦に従軍記者として随伴した。この地は幼き頃、友人が行方不明となった場所である。装甲列車で川を渡る青柳音羽は、カメラを握りしめる。「もうあの頃とは違う…」
===以下、ネタバレ注意===
===続===
レトロな雰囲気が素晴らしい。提灯ともるお祭り、赤い折り紙で作られた風車、古い映写機に、怪しげな弁士の古風な言い回しと、どこか懐かしさを感じさせる。オチは、子どもが感じる原始的な恐怖「変なところに迷い込んで殺されてしまう」を表現している。監督はインタビューで幼少期に「悪い子は子捨て山に捨ててくる」と言われたことが映画のベースになっていると話す(ガジェット通信,2012)。
幼少期に感じていた異世界への畏れを《私》は感じなくなって、久しい。昔はベットのシワが怪物の顔に見えたが、いまは寝床にしか見えない。「端ノ向フ」のレトロな風景と懐かしい恐怖との混濁は、味わい深い。
【追記】
・「端ノ向フ」は塚原重義が監督となって2012年に制作されたアニメーション作品。
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