「火の鳥」について / マンガ・SFファンタジー

 「火の鳥」では日本の過去と未来が描かれる。黎明編(1巻)ではヤマト朝廷の始祖である神武天皇が登場し、日本人の末裔は未来編(2巻)の西暦3404年にて死滅する。数千年が舞台となる物語には、時空を超えた存在として「火の鳥(=鳳凰、フェニックス)」が登場する。

 「火の鳥」は手塚治虫の代表作である。過去と未来を交互に描き、最後は現在を描くという壮大な構想で「生と死」というテーマに向き合い、手塚治虫は30年近くも巻を重ね続けた。物語の歴史は、神武東征(黎明編,1巻)、古墳時代(ヤマト編,3巻)、壬申の乱(太陽編,10-12巻)、奈良の大仏建立(鳳凰編,4巻)、平清盛と源義経(乱世編,7,8巻)、21世紀の宗教戦争(太陽編,10-12巻)、宇宙移民(望郷編,6巻)、31世紀のロボット(復活編,5巻)、核戦争による終末(未来編,2巻)と紡がれる。続編は、日中戦争における軍人が主人公で、上海から始まり楼蘭に終わるスケールの大きな戦争メロドラマになる予定だった(出典:手塚治虫公式サイト「火の鳥」)。これは作者の死によって永遠に失われてしまった。

 《私》の血の遠大さは人類数百万年の歴史と等しく、《私》は今その歴史の最前線に立っている。《私》は父と母が生まれねば生まれ得ない。そして、この血の原則により《私》の存在は人類誕生にまで遡ることができる。さて、ひるがえって未来に目を向けるに果たして《私》の子孫は1000年後も生きているだろうか。それはわからない。「火の鳥」は悠久の時の流れと不変の人間像に想いを馳せさせる作品だ。

 

【追記】

・「火の鳥」:日本漫画の伝説的作品。作者は手塚治虫。1954年から1988年にかけて断続的に発表されたライフワーク的作品。

しまうま

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