金融経済は実体経済にどのような影響を与えるのでしょうか?
これはIS曲線で表すことができます。
IS曲線とは、財市場を均衡させる利子率と国内総生産の組み合わせです。
これについてわかりやすく解説します。
- 簡単バージョン
- 要約バージョン
- しっかり解説バージョン
でわかりやすく解説します。
1、IS曲線(簡単バージョン)
利子率が上がると、投資が減ります。
投資が減ると、国内総生産が減ります。
利子率を縦軸、国内総生産を横軸にとると、右下がりのIS曲線がかけます。

3、IS曲線(要約バージョン)
もう少し詳しく説明しましょう。
(1)金融経済で利子率rが増加
まず、金融経済で何かがあり、利子率が増加します。
(2)投資Iが減少
すると、利子率に見合った有望な投資案件が減るので、投資が減少します。
(3)総需要が減少
投資は総需要の要素であるので、総需要が減少します。
(4)有効需要の原理により、国内総生産の減少
需要が減ったので供給過多になりますが、企業が減産することで財市場の均衡がもどります。(有効需要の原理)
この結果、国内総生産Yが減少します。
(5)IS曲線の導出
したがって、利子率が増加すると、国内総生産は減少するので、IS曲線は右下がりになります。

3、IS曲線(しっかり解説バージョン)
(1)利子率と投資の関係
金融経済で利子率rが決まります。
これは実体経済にどのように影響を及ぼすでしょうか?
まず、企業は
- 利子率:銀行に預けて儲かる将来収益
- 投資の限界効率:生産要素に投資して儲かる将来収益
を比較して、「投資するか」「銀行に預金するか」を考えます。具体的には
- 利子率が上がれば、それに見合う投資案件が減るので、投資は減少
- 利子率が下がれば、それに見合う投資案件が増えるので、投資は増加
と考えます
これをグラフに表すと次のように描けます。

(2)投資と需要の関係
閉鎖経済において
- 需要=消費+投資+政府支出
ですから、
投資は、需要側に影響を与えます。
総需要は、国内総生産との関係において次のように表すことができます。

(3)需要と国内総生産の関係
供給=国内総生産といえますから、総需要と総供給は次のようにかけます。
数量調整により、交点で財市場が均衡します。(→有効需要の原理)

(4)利子率増加による投資の減少
ここで、利子率が増加して、投資が減少したとしましょう。すると、総需要はつぎのように表せます。

(5)投資の減少による国内総生産の減少
すると、財市場の均衡は次のように変化します。
したがって、利子率が上昇すると、最終的に財市場が均衡する国内総生産が減少します。

(6)IS曲線
この関係を縦軸を利子率、横軸を国内総生産のグラフで表すと、IS曲線となります。
