IS-LM分析で財市場を捉え直す

IS-LM分析

 IS-LM分析は、多くの経済変数を統合して構築されるモデルです。

 ただ、多くの場合、財政政策金融政策の有効性や効果に絞って分析がされます。

 そこで、ここでは他の経済変数を考えて、それがマクロ経済にどのように影響するのかをみていきます。

1、消費C

(1)消費とはなんだったか?

 閉鎖経済を仮定すると

に分けることができます。

 ここで重要な役割を果たすのが、消費です。

 ケインズは、

と考えました。

(2)基礎消費の変化

 ここで基礎消費に変化があったとしましょう。

 基礎消費が小さくなる変化は、

  • 技術革新による低コスト化
  • シェアリングエコノミーの発展

が考えられます。

 基礎消費が大きくなる変化は、

  • 生活必需品の値上がり
  • 技術革新による生活必需品の登場(冷蔵庫、洗濯機)

が考えられます。

 基礎消費の変動は、財政政策と同じようにIS曲線をシフトさせます。

 例えば、基礎消費が上昇すると、つぎのようになります。

(3)限界消費性向の変化

 つぎに限界消費性向の変化を考えます。

  • 限界消費性向=可処分所得が1増えたら、そのうちいくつを消費にまわすか?という指標

です。

 ですので、0< 限界消費性向 <1になります。

 消費が活発なとき(好景気)、限界消費性向は高くなります。

 消費が活発でなく貯蓄するとき(不況、コロナ貯蓄)、限界消費性向は低くなります。

 では、限界消費性向が上昇した場合、どうなるでしょうか?

 まず、次のように需要が創出され、国内総生産が上がります。

 IS曲線の形状にも変化を及ぼします。

 ①限界消費性向が小さい場合から②大きい場合になると、投資1単位増加による国内総生産の伸びが増えます。

 これは投資増加による需要創出が、国民所得の上昇に繋がり、それがどんどん消費に回されるようになるからです。

 これらを踏まえると、限界消費性向の上昇は

  • 同じ利子率で比較すると、国民所得の上昇を起こす=IS曲線の右シフト
  • 利子率変化で投資1単位変化したときの、国内総生産の変化が大きい=IS曲線の傾きは緩やかに

を引き起こします。

  LM曲線も考えると、次のように国民所得と利子率が決定されます。

2、投資

 つぎに投資について考えます。

(1)投資の利子弾力性

 投資では利子弾力性という言葉が重要になっていきます。

 利子弾力性とは、利子率が1%減ったら、投資が何%増えるのかを表す言葉です。

 それぞれ次のように描くことができます。

 一方で、IS曲線の傾きは投資が利子率にどれほど反応するかで決まります。

  • 投資の利子弾力性が大きい→IS曲線の傾きは緩やか
  • 投資の利子弾力性が小さい→IS曲線の傾きは急

になるというわけです。

(2)投資の利子弾力性がゼロ(IS曲線が垂直)

 では極端なパターンを考えます。

 投資が利子に対して全く反応しない場合は、どうでしょうか?

 つまり、投資の利子弾力性がゼロのときです。

 利子が変わっても投資は変わらず、国民所得は一定です。

 IS曲線は垂直になります。

 このときの経済政策について分析します。下図より

  • 財政政策:クラウディング・アウト(利子上昇での投資減退)が発生せず、効果が大きい
  • 金融政策:利子下落での投資喚起ができず、効果はゼロ

となります。

3、政府支出

 政府支出の変化は、財政政策によってもたらされます。

 これについては、財政政策の効果で論じています