市場均衡なんだけど、契約の重要性を忘れがちな気がする

 ナッシュ均衡のいいところは「契約に拘束力がない場合を考えられる」という点です。では、契約違反した場合の需要供給曲線はどうなるのでしょうか。というわけで考えてみました。

※経済学メモ

  • 協力ゲーム・・・契約に拘束力あり(解:コア)
  • 非協力ゲーム・・・契約に拘束力なし(解:ナッシュ均衡)
  • 市場均衡はコアである
しまうま

東大生/ 欲しいものは大局観。目指すは全体最適。|経済学の考え方が好きです。

1、契約に拘束力がある場合

 契約では

  • 価格
  • 数量

を決めます。もちろん、需要供給曲線では、これらは均衡点で決まります。

 

 このとき、余剰分析してやると、次のようになります。

2、契約違反の事例 〜数量ミス〜

 しかし、企業側が契約した生産をしなかったとします。

 すると、需要供給曲線はつぎのようになります。

3、生産者の交渉力が強い場合

 もし生産者が交渉力が強い場合はどうでしょう。

「おらあ、おれの商品ほしいんだろ?なら高くかいな。へっへ」

 このとき、下図のように価格が決まり、消費者が損します。

4、消費者の交渉力が強い場合

 逆に消費者の力が強い場合はどうでしょう。

「おい、てめえ、わざとサボっただろ。俺に与えた損害分を価格から差し引けよ。ああ?怒」

 このとき、下図のように消費者余剰がどんと増えます。

5、結局、均衡価格で取引

 企業と消費者の交渉力がだいたい同じで、均衡価格で取引が成立すると、下のようになります。

6、隠れた仮定 〜契約の拘束力〜

 以上より、契約が成立した後に、どちらかが契約を履行しないと、当然、市場は歪められることがわかりました。

 不完全競争や市場の失敗に注目して忘れがちですが、契約の拘束力も市場均衡にとってはやっぱり重要なんですね。

補足

 ただし、上の議論にはいくつかの疑義があります。

 上では

ステップ1、均衡点が導かれ、契約が結ばれる

ステップ2、生産者が契約違反する

という順番をとっていました。ここに2つの問題が存在します。

  • ステップ1 :均衡点は導けるのか?=ワルラスの競り人は存在するのか

 ワルラスの競り人とは、取引前にすべての消費者・生産者から情報を集め、均衡点を教えてくれる人です。

 実のところ、人々は均衡点がどこか知りません。直面するのは市場価格だけです。

 市場価格は特殊な条件の下でしか需要と供給を一致させません。

 この特殊条件をお膳立てしてくれるのがワルラスの競り人ですが、この人は現実にはいません。

 したがって、ステップ1がしっかり行われるかは疑問です。

  • ステップ2:なぜ契約違反する?=プライステイカーの仮定はどこへ?

 市場価格に直面し、プライステイカーであるなら、需給曲線の通りに従うのが合理的です。

 なんでわざわざ契約違反をしたのでしょう。おかしいですね。

 したがって、すくなくとも完全競争で不確実性がない場合、ステップ2が行われるとは考えられません。

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