需要曲線が右下がりの理由をわかりやすく解説

需要と供給(経済学)

 需要曲線はなぜ右下がりなのでしょうか?

 簡単に言えば、「需要法則だから」ですが、ここではもっと深く解説してみたいと思います。

 ただ、単に経済学の試験で需要曲線と供給曲線を見分けたいという方もいらっしゃると思います。

 そこで、1節では簡単にわかりやすく解説します。

 2節では限界効用理論に基づいた解説をします。

 3節では代替効果所得効果から考えてみたいと思います。

 最後に4節では「右上がりの需要曲線」となるギッフェン財をご紹介します。

1、わかりやすい理由

 具体例で需要曲線が右下がりの理由を解説します。

 通常価格200円のアイスの例を考えてみます。

 これが1000円ですと、値段が高いので需要は小さくなります。

 一方で、100円ですと、値段が安いので需要は大きくなります。

 ちなみに、この価格が高くなると需要が小さくことを「需要法則」といいます。

 さて、需要曲線のグラフでは伝統的に縦に価格横に需要をとります。

 すると、下のように3点をプロットすることができます。

 いまは、100円、200円、1000円についてしか考えていませんが、もっと多くの価格について考えてみます。

 点がたくさん打てますね。

 これを繋いでいくと、下のような需要曲線が描けます。

 このとき、アイスの需要曲線は右下がりになっています。

 もちろんアイス以外の財についても需要法則が成り立っていれば、「需要曲線は右下がり」は成り立ちます。

 これが簡単な理由です。

2、限界効用理論

 次に限界効用理論に基づいて考えてみます。

 限界効用とは、追加した一個の満足度のことです。

 限界効用がだんだん下がっていくという性質があります。

 これを、限界効用逓減の法則と言います。

 最初の1個目のアイスは最高ですが、2個目3個目といくにつれて満足度が下がっていくようなことを意味しています。

 さて、消費量と限界効用をグラフにすると下のようになります。

 さて、ここで失うお金の不満足度も書き加えましょう。

 例えば、下図のように価格を設定します。

 すると、1個目は値段の割に満足できますから買います。

 2個目、3個目、4個目も同じです。

 しかし、5個目になると、値段の割に不満足ですので買いません。

 買うのは4個です。

 これをいろんな価格についてやってみますと、限界効用の曲線をなぞるように消費が決まっていきます。

 需要とは消費計画のことですから、実は限界効用の曲線はそのままで縦軸を価格、横軸を需要と書き換えてやると、需要曲線が完成します。

 つまり、需要曲線が右下がりの理由は、「限界効用逓減の法則」のためといえます。

3、代替効果と所得効果

 さて、今度は無差別曲線理論を使って解説します。

 ただ、これはミクロ経済学を最初から説明する必要があります。

 そんな紙面はないので導出過程は省略して、さっそく結論にいきたいと思います。

(ミクロ経済学をやったという人は、次の図をみてスルツキー分解を思い出してください。)

 さて、実は価格上昇による消費量の変化は、代替効果と所得効果に分けられます。

代替効果

 代替効果とは、他の財に比べて価格が割高になったことで、需要が減ることです。

 相対価格が割高になったとも言えます。

 割高になると、消費したくても予算が足りなくなります。

 代替効果で、必ず需要は減ります。

所得効果

 一方で、所得効果とは、値上がりによって実質的な所得が減少したことで、需要が変化することです。

 例えば、所得が増えると、高級料理やブランド品を買うようになります。

 けれども、同じように所得が増えても、ファストフードや安い服はむしろ買わなくなります。

 値上がりは実質的なお小遣い減額と同じですから、上と同じような現象が起きるのです。

 ここで重要なのは、所得効果で需要が増えるか減るかは、財によって違うということです。

ふつうは「代替効果>所得効果」

 ただ、普通、所得効果はそこまで大きくないです。

 ですので、所得効果で需要が多少増えても、需要を減らそうとする代替効果が勝ちます。

 無差別曲線理論における需要曲線が右下がりになる理由は、「代替効果の影響力が大きいから」です。

4、ギッフェン財:右上がりの需要曲線

 ここからは現実の話ではなくて、理論的な話に入ります。

 需要を増やそうとする所得効果がとてつもなく強くて、代替効果を上回る影響力を持っていたらどうでしょうか?

 このとき、価格上昇によって需要が増えることが考えられます。

 このとき、需要曲線は下のように右上がりになります。

 このように所得効果が大きすぎて、右上がりの需要曲線となる財をギッフェン財といいます。

 このように理論的には存在が予測されているギッフェン財ですが、実はギッフェン財が観測されたことはほぼないです。

 この結果を踏まえると、やはり需要曲線は右下がりと言えるのです。