「需要と供給」について中学生でもわかるように簡単に解説します。
ここでは、さらに踏み込んで
- 需要と供給の調整を市場経済に任せることが社会がハッピーになる秘訣であること
- 市場経済は神の見えざる手とよばれる不思議な仕組みであること
について考えていきます。
需要と供給とは
- 需要とは、どれだけモノが欲しいと思われているか
- 供給とは、どれだけモノがあげたいと思われているか
を意味する経済学のコトバです。
社会がハッピーになるには
では、社会にとって需要と供給がどんな状態だとハッピーでしょうか?
ここで需要と供給のコトバの裏側を考えてみます。
すると
- 需要とはモノが不足している量
- 供給とはモノが余っている量
ということができます。
この考え方が大事です。
モノが不足していると不満ですし、モノが余っているのはもったいないです。
そうなると社会にとって一番ハッピーなのは、需要と供給が同じ量になることです。
資源配分の問題と経済学
このように「モノを上手い具合に分けあうことで人々をどうやってハッピーにするか?」という問題を効率的な資源配分問題といいます。
とてつもなく頭のいい人が資源配分を管理するのもいいでしょう。
けれども、人間は神様ではありませんから、さすがにこれは不可能です。
人々が自由に動いた結果、社会にとって一番いい結果になるような仕組みはないのでしょうか。
実は、これに答えを与えてくれるのが経済学なのです。
おカネ
経済学者は効率的な資源配分問題を考えるために、おカネに注目します。
みなさまは、需要と供給の説明で変なところに気がつかなかったでしょうか?
「需要側は、欲しがっているだけでわがままだなあ。供給側は、あげたいだけでお人好しすぎるんじゃないかな?」
まさにその通りです。
では、供給側はモノを渡す代わりに、おカネをもらえるとしたらどうでしょうか。
需要側と供給側がうまく結びつく感じがしないでしょうか?
実はこれがうまくいくのです。
需要曲線 〜価格と需要〜
まずは需要について考えましょう。
需要側は、モノを手に入れるのにおカネを払わなくてはいけません。
けれども、「どれだけ強い気持ちでモノをほしいと思っているのか」は人によって違います。
とてもモノが欲しい人は高い価格でも買うでしょうし、あんまり欲しくない人は低い値段にならないと買わないでしょう。
つまり、高い価格で需要は小さく、低い価格で需要は大きくなります。
これを下のようにグラフにしたのが需要曲線です。

供給曲線 〜価格と供給〜
次に、供給についてです。
供給側は、モノを売るとおカネをもらえます。
けれども、「モノを作るためにがんばる量」は会社によって違います。
あんまりがんばらなくてもモノを作れる会社は低い価格でも売るでしょうし、とてもがんばらないとモノを作れない会社は高い価格にならないと売りません。
つまり、高い価格で供給は大きく、低い価格で供給は小さくなります。
これを下のようにグラフにしたのが供給曲線です。

需給曲線と価格
すると、下のようなグラフになりますね。

ここからは価格が需要と供給を調整していくことを説明しましょう。
説明をわかりやすくするために、ふつう100円のアイスの例で考えましょう。
アイスの価格が10円と低いとき、需要は大きいですが、供給が小さくなって、人々はハッピーになれません。
需要側「アイスが欲しいからもっとおカネ出します。」
供給側「値上がりした方がもうかるから、いいよ!」
となります。
こうして、アイスの価格は上がります。

逆にアイスの価格が200円と高いとき、供給は大きいですが、需要が小さくなって、人々はハッピーになれません。
供給側「売れ残ってるから、値下げしたいです」
需要側「安く買いたいから、いいよ!」
となります。
こうして、アイスの価格は下がります。
このように価格が勝手に需要と供給を調節することを価格の自動調節機能といいます。

需要と供給のバランス 〜均衡〜
最初に価格が高すぎると価格は下がります。
逆に、最初に価格が低すぎると、価格は上がります。
これをグラフであらわすと下のようになります。

結局、価格は、自動的に需要曲線と供給曲線の交点になります。
そして、このとき需要と供給は同じになって、人々はハッピーになります。
価格によって効率的な資源配分問題は解決されるのです!

市場経済
このようにモノとカネをやり取りする所を市場(しじょう)といいます。
そして、市場を通じて資源が配分されていく仕組みのことを市場経済といいます。
経済学者は市場経済を人々がハッピーになる秘訣と考えています。
神のみえざる手
市場経済はだれかによって管理されているわけではありません。
人々が自由に行動すると、需要と供給が一致するのです。
「好きなように行動することが、社会全体にとってもいい」という最高の状態が作れるわけです。
このような不思議な仕組みを、近代経済学の父といわれるアダム・スミスは「神の見えざる手」といいました。
市場経済は、まさに神の見えざる手なのです。