需要の価格弾力性とは?定義・数式をわかりやすく解説

 「てれすこーぷ。」管理人のしまうまです。今回は需要の価格弾力性を解説します。

 需要の価格弾力性は、ミクロ経済学における消費理論の概念の1つです。

 ここでは定義はもちろんのこと

 企業にとってどういう意味を持つのか?

 経済学的な意義は何なのか?

 数式でどういう風に表せるのか?

を解説します。

 また、補論ではスルツキー分解を用いて、需要の価格弾力性を3つ要因に分解します。

1、 需要の価格弾力性とは何か 

(1) 定義 

 需要の価格弾力性とは 価格によって どれだけ需要が変わるか についての指標です。

 具体的には、「価格が1%下がった時、需要が何%上がるか?」を指します 

(2) 企業にとっての意味

 企業にとって需要の価格弾力性はどのような意味を持つのでしょうか ?

 実は 価格設定に大きな影響を及ぼします。

 結論から言えば、需要の価格弾力性 が1を超えるか否か、で値上げか値下げのどちらが適切か分かります。

需要の価格弾力性>1のとき

Photo by William Chiesurin on Unsplash

 需要の価格弾力性が1より大きいときは、消費者は価格に敏感に反応します。例えば、ガソリンスタンドがたくさんあるところでは、ドライバーは1円でも安いところに行こうとします。

 このとき、単価を下げれば 儲けは目減りしますが、それ以上の割合でお客さんの数が増えるので、結果的に儲けることができます。

 つまり、需要の価格弾力性が1を超えるとき、企業は値下げした方がいいです。

需要の価格弾力性<1のとき

Photo by Fezbot2000 on Unsplash

 需要の価格弾力性が1より小さいときは、消費者は価格にあまり反応しません。例えば、温泉街ではアイスが400円でも500円でもあまり考えずに買ってしまったりします。

 このとき、値段を上げても、それと比べてお客さんの数があまり減らないので結果的に儲けることができます。

 つまり、 需要の価格弾力性が 1を下回る時、企業は値上げした方がいいです。

(3) 経済学的な意義 

 実は需要の価格弾力性は、経済学的に重要です。

  経済学では、どうやって資源の効率的な配分をするかを研究する学問で、その中で市場メカニズムを重視します。

 市場メカニズムでは価格の調節機能が働きます。

 消費者が求めている財サービスが不足していれば値段が上がり、値段が上がれば 企業はたくさん生産するようになります。 結果的に、これで資源の効率的な配分が実現するのです。 

 ですので、価格に対して消費者がどのように反応するか を意味する需要の価格弾力性は、市場メカニズムの理解に直結します。

 ですので非常に重要な概念なのです。

2、需要の価格弾力性を数式で表す 

(1) なぜパーセントなのか 

 さきほど、需要の価格弾力性を「価格が1%下がった時、需要が何%上がるか?」と定義しました。 

 ここで重要なのが なぜパーセントで定義されているところです。

 例えば、需要の価格弾力性を「100円下げるとどれだけ需要が上がるか」 という定義してもよくありませんか?

 パーセントで定義されているのは、商品ごとの比較ができなくなってしまうからです。

 例えば、300円くらいの少年ジャンプが100円値下げするのと、300万円くらいのプリウスが100万円値下げするのは同じことですよね?

 しかし、100円での定義では、少年ジャンプの需要 はものすごく高まりますが、 プリウスの 需要はほぼ変わりません 。

 この問題を回避するためにパーセントで定義されているのです。

(2) 数式での表し方 

 次に数式で表してみましょう。

 どのくらいの割合変わったかは、 分母にもともとの量、分子に変化量を書くことで示せます。

 また、ここがポイントです。

  価格が下がると、需要は上がります。そのまま、需要の価格弾力性を考えると、マイナスになってしまいます。そこで、あらかじめ需要の価格弾力性の数式の定義にはマイナスをつけます

 これで需要の価格弾力性の数式的定義ができました。

3、おわりに

 ここまで需要の価格弾力性を解説してきました。どうでしたでしょうか?

 ちなみに、ミクロ経済学の参考書としては、東京大学経済学部で大人気だった神取先生の講義を書籍化したこの本が有名です。

 この記事もこの本を参考にしました。ぜひ店頭で見かけたら手に取ってみてください。世界観がかわると思いますよ。

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補論、消費者モデルとの関係 〜スルツキー分解より〜 

(1)消費者との関係

 最後に高度な話をします。

 需要の価格弾力性が、企業にとって重要なことは見えてきました。

 しかし、需要の価格弾力性が

  • 消費者がどのような商品を欲しいと思っているのか
  • 消費者がどのような商品を実際に買うのか

という行動モデルとの関係で理解できていません。 

(2)スルツキー分解の概要

 ミクロ経済学では合理的な消費者モデルを考えます。

 合理的といってもそんなに身構える必要はありません。

  • お財布と相談しながら、一番満足度の高い行動をする
  • 同じ満足が得られるなら、一番費用の少ない行動をする

これはそれぞれ

  • 予算制約下での効用最大化による最適消費→需要関数
  • 効用水準下での費用最小化による最適消費→補償需要関数

として定式化されています。

 合理的な消費者はこれを同時に達成するので、需要関数と補償需要関数は等しくなります。

 これを価格pで微分しシェパードの補題を用いると、代替効果と所得効果を導くことができます。これがスルツキー分解です。

(3)弾力性の導出

 スルツキー分解は最終的に次の様な式になります。これを変形すると、需要の価格弾力性を次のように分解できます。

(4)需要の所得弾力性を分解する

 ここにおいて 需要の価格弾力性は、孤立した理論から消費者理解につながる理論へ昇華するのです。

 ここから得られる示唆はなんでしょうか?

 それは需要の価格弾力性は

  • 費用を抑えたいと思っていると大きくなる(補償需要の価格弾力性より)
  • ぜいたく品だと小さくなる(所得の価格弾力性より)
  • 金持ちだと小さくなる(支出シェアより)

ということです。

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しまうま

<自己紹介>
 万人の共通言語となる世界観を追い求めて、ブログを執筆しています。
 
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【可能性】万人にとってよい社会を構想する共通言語になりうる
【長所1】個別的な議論を排し、統一的に説明する
【長所2】ゼロかイチかの極論を排し、最適点を導く
【長所3】独善的あるいは自傷的な社会通念を排し、価値観や能力の多様性を重視する
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2008さんありがとうございます!
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2030さん、は〜い笑
まれびと3295
こんにちは^ー^
まれびと3498
やっはろー
しまうま
3295さん、3498さん、こんにちは〜
まれびと5147
めっちゃ分かりやすい
まれびと5147
大学の先生より分かりやすい
しまうま
5147さん、ありがとうございます!ウレシイ!どちらの記事でしょうか?
しまうま
みなさまもぜひコメント残していってください
まれびと9305
正の外部性を内部化する為の補助金は、何故私的最適均衡点でなく社会最適均衡点に合わせて出されるのですか?補助金で外部経済が内部化されるのはわかりますが、初めにあった死荷重はどうなった?外部経済・死荷重にも重ならない分の補助金(右端の三角形)はどうなるんです?ご教授下さい…
しまうま
9305さん、ご質問ありがとうございます。ご質問3点は、正の外部性のページにある図4〜図8を順番に見ていただければ解決すると思います。1点目は図4〜図8、2点目は図4・図5・図7、3点目は図4・図7が対応しています。
まれびと4054
賃金に所得税が課されると労働時間はどうなるでしょうか?
しまうま
4054さん、コメントありがとうございます。結論からいえば、「場合による」が答えになります。合理的な労働者目線で、所得税課税は賃下げと同義です。単純にみれば、労働のインセンティブが減るので、労働時間が減ります※1。これがスタンダードな結論です。しかし、無差別曲線理論では、賃下げで労働時間が増える合理的な行動の存在を予想しています※2。労働曲線の後方屈曲性という現象です。例えば、時給5000円で月8時間家庭教師する東大生が、国に時給当たり所得税3000円を徴収されたら、生活水準を維持するために労働時間を増やすでしょう。もともと月4万円のバイト収入があったのに課税で1.6万円になったのでは、デート回数を減らすことになるのだから仕方ありません。これは所得税課税で労働時間が伸びる例です。他の
しまうま
賃金と労働時間に関する興味深い例(こちらは所得税とは関係ありませんが...)にはニューヨークのタクシー運転手の例があります。彼らは時給が上がると、労働時間を減らすらしいのです。面白いですよね。なお、※に対応する当ブログ記事は※1→「https://info-zebra.com/koyo-kettei/」、※2→「https://info-zebra.com/roudo-kyokyu/」です。
しまうま
みなさまもぜひコメント残していってください。近況とか聞きたいです
まれびと14623
おはよー
しまうま
14623さん、おはようございます!
まれびと16226
負の外部性の記事で、常体と敬体がごっちゃになっています。
しまうま
16226さん、ご指摘ありがとうございます。修正しました。
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