供給曲線はなぜ右上がりなのでしょうか ?
簡単に言えば、「価格が高ければより儲かるので、たくさん生産するから」です。
第1節では簡単にわかりやすく解説します。
さらに、ここではもっと深く解説してみたいと思います。
第2節では利潤最大化の視点から解説します。
さらに、より踏み込んで供給曲線が右上がりになる理由だけでなく、どういう形になるのかについても解説します。
第3節(おまけ)では、供給曲線が存在しない独占企業について簡単に触れます。
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1、 わかりやすい理由
まず、具体例で供給曲線が右上がりの理由を解説します。
通常価格200円のアイスを考えています。
これが1000円ですと、「アイスは高くて儲かる」というので供給が大きくなります。
一方でこれが100円ですと 割りが合わないと言うので供給が少なくなります。
さて供給曲線のグラフでは伝統的に縦に価格、横に供給を取ります。
すると下のように3点をプロットすることができます。

今は100円、200円、1000円ついてしか考えていませんが、ここでもっと多くの価格について考えてみます。
点がたくさん打てますね。
これを繋いでいくと下のような供給曲線が描けます。

このとき、アイスの供給曲線は右上がりです。
アイス以外についても同じで、供給曲線は右上がりとなります。
これが供給曲線が右上がりになる簡単な理由です。
2、利潤最大化で考える供給曲線
次に企業を利潤最大化する経済主体として考えます。
利潤とは、次のように表せます。
- (利潤)=(価格)×(生産量)ー(費用)
では、どのような生産量のとき、企業は利益企業の利潤を最大になるでしょうか。
利潤が最大化するまで、生産量を1個ずつ追加すると考えます。
(1)生産量追加で増加する収入
生産量を1個ずつ追加することで、増加する収入はいくらでしょうか?
(収入)=(価格)×(生産量)ですから、(増加する収入)=(価格)×(1個)です。
価格を固定して考えると、増加する収入を下図のように表せます。

(2)生産量追加で増加する費用
逆に生産量を1個ずつ追加することで、増加する費用はいくらでしょうか?
さて、実は増加する費用(限界費用)はどんどん増えていきます。
なぜなら、たくさん働かせれば働かせるほど、人や機械の生産性が落ちていくので、 より多くの機械や人を投入しなくてはいけないからです。
これを図にすると下のようになります

(3)利潤最大化から生産量を決定
さて、この結果、どのくらい利潤は増大するでしょうか?
下のグラフをみると、1個目では利潤増加が利潤減少を上回っています。
2個目、3個目、4個目も同じです。
しかし、5個目以降は利潤減少が利潤増加を上回ってしまいます。
ですので、利潤が最大となる生産量は4個になります。

(4)限界費用曲線が供給曲線の形
いまは価格を固定して考えてみました。
今度は価格を変えていきましょう。
すると、最適な生産量は限界費用曲線に沿って決定されていくことが図からわかります。
つまり、限界費用曲線のグラフの縦軸を価格、横軸を供給にしたものが供給曲線なのです。
供給曲線が右上がりになる理由は、「利潤最大化を考える企業の限界費用がどんどん増えていくから」といえます。
もう少し踏み込むと、「生産量が増えるにつれて、生産性が下がっていくから」です。
3(おまけ)、供給曲線が存在しない独占企業
最後にその財をつくる他の企業がいない独占企業について簡単に考えます。
実は、独占企業には供給曲線が存在しないのです。
なぜでしょうか?
振り返ってみると、供給曲線の導出では、価格を固定してから企業が生産量を決定しました。
なぜなら、さきほどのの企業は「価格を自分で変えるできない」というプライステイカーが隠れた前提だったからです。
しかし、独占企業は他に企業がいないので「自由に価格を自分で決められる」というプライスメイカーです。
このために、「この価格ならこの生産量」を意味する供給曲線は存在しないのです。
結論だけ言えば、価格と生産量の組み合わせは、需要曲線と一致します。
これは発展問題なので別の機会に…