供給曲線のシフトの本質と原因をわかりやすく解説!

部分均衡理論

 供給曲線のシフトはよく言及される現象ですが、これは供給曲線というモデルの限界を意味するという点で非常に重要です。

 これについて、わかりやすく解説します。

1、供給曲線のシフトの本質

(1)供給曲線のシフト

 供給曲線のシフトとは、供給曲線がおおまなか形は変わらずに位置が移動することを言います。

 原因は、価格以外の変化です。

<例>

(2)本質:モデルの限界

 さて、なぜこれが起こるのでしょうか?

 供給曲線は価格と供給の関係を表現できるモデルです。

 一方で、賃金・資本レンタル料・技術進歩などを考慮することができていません。

 そして、この価格以外の要因は、供給曲線に不規則なゆらぎを与えます

 これが、供給曲線をシフトさせる原因であるのです。

 それぞれの例について具体的にみていきましょう。

2、上下左右シフトの意味

(1)右シフト:供給増大を数量に反映する

 価格以外の要因によって供給が増えるような変化が起きた場合、供給曲線は右シフトします。

 同じ価格でも供給が増えるからです。

 価格以外の変化が数量に反映されているので、数量調整のパターンです。

(2)上シフト:供給増加を価格上昇で打ち消す

 供給が増えているとき、価格が下がることで供給増加分を打ち消すことができます。 

 これは下シフトを意味しています。

 価格以外の変化が価格に反映されているので、価格調整のパターンです。

 上の図で確認すると、供給曲線の右シフトと下シフトは同じ意味ですが、これはどちらも供給増加局面だからです。

<比較>

  • 供給曲線では右シフト=下シフト
  • 需要曲線では右シフト=上シフト(→詳しくは「需要曲線のシフト」)

(3)左シフト:供給減少を数量に反映する

 同じように考えます。

 価格以外の要因によって供給が減るような変化が起きた場合、供給曲線は左シフトします。

 同じ価格でも供給が減るからです。

 価格以外の変化が数量に反映されているので、数量調整のパターンです。

(4)左シフト:供給減少を価格下落で打ち消す

 供給が減っているとき、価格が上がることで供給減少分を打ち消すことができます。 

 これは供給曲線の上シフトを意味しています。

 価格以外の変化が価格に反映されているので、価格調整のパターンです。

 供給曲線では、左シフトと下シフトは同じ意味なのです。

 上の図で確認すると、供給曲線の左シフトと下シフトは同じ意味ですが、これはどちらも供給減少局面だからです。

<比較>

  • 供給曲線では左シフト=上シフト
  • 需要曲線では左シフト=下シフト(→詳しくは「需要曲線のシフト」)

3、シフトの原因 

 供給を左右する価格以外の要因にはどんな例が考えられるでしょうか。

ミクロ経済学では、供給曲線は費用と生産性から導出します。

 (詳しくは、供給曲線が右上がりになる理由を参照してください。)

 このように考えると、供給曲線の価格以外の要因は費用にかかわる

  • 賃金(労働者)
  • 資本レンタル料(機械・工場・パソコンなど)

 生産性に関わる

  • 技術進歩(機械・工場・パソコンなど)
  • 人的資本形成(労働者)

となります。

 さらに、供給量はどれくらいの企業がいるかも関係しますので

  • 企業数

も追加できます。

 それぞれわけて考えましょう。

(1)賃金

 賃金が安くなれば供給は増えます。

 なぜなら割安でたくさんの人を雇うことができるからです。

 こんなとき、供給曲線は右へシフトします。

 逆に賃金が低くなれば供給は減ります。

 なぜならあまり人を雇うことができないからです。

 こんなとき、供給曲線は左へシフトします。

(2)資本レンタル料

 同じことが資本(機械・工場・パソコン)でも起きます。

 資本レンタル料が安くなると、供給曲線は右へシフトします。

 資本レンタル料が高くなると、供給曲線は左へシフトします。

(3)技術進歩

 技術進歩がおきて生産性があがれば、同じ資本でも生産量は大きくなりますので、供給曲線は右へシフトします。

 先進的な技術は高価なことが多いので、この結果に疑問を持たれる方もいると思います。

 その通りです。

 現実には技術進歩と同時に資本レンタル料が高くなりますので、生産量を下げる効果もあります。

 ただし、ここでは生産性に関わる面と費用に関わる面は完全に分けて考えますので、技術進歩がおきれば供給曲線は右へシフトすると考えていいでしょう。

(4)人的資本形成

 なにも生産性があがるのは資本だけではありません。

 労働者自身もスキルが上昇することで生産性が上がります。

 経済学ではこれを人的資本形成といいます。

 たしかに優秀な人の賃金は高くなりますが、技術進歩と同じように生産性に関わる面と費用に関わる面は完全に分けて考えます。

ですので、人的資本形成がおきれば供給曲線は右へシフトすると考えていいでしょう。

(5)企業の参入と退出

 供給量には参入企業の数も重要です。

 儲かる産業には多くの企業が参入してきますので、供給量は増えます。

 このとき、供給曲線は右へシフトします。

 逆に儲からない産業からは企業が退出していきますので、供給量は減ります。

 このとき、供給曲線は左へシフトします。