【LM曲線のシフト】金融政策の効果

IS-LM分析

 金融政策が貨幣市場に与える効果を解説します。

 IS-LM分析では、金融政策をLM曲線のシフトと捉えます。

 これについて解説します。

1、財政政策とIS曲線のシフト

(1)金融緩和(と物価下落)

 金融緩和と物価下落で実質マネーサプライM/Pが増加し、利子率が減ります。

 このとき財市場で決まる国内総生産は変化していないので、LM曲線は下シフトします。

 ただ、覚えにくいので下のように考えていいです。

IS曲線(右下がり)LM曲線(右上がり)
金融緩和×右シフト
拡張財政右シフト×

 

(2)金融引き締め(と物価上昇)

 金融引き締めと物価上昇で実質マネーサプライM/Pが減少し、利子率が上がります。

 このとき財市場で決まる国内総生産は変化していないので、LM曲線は上シフトします。

 ただ、覚えにくいので下のように考えていいです。

IS曲線(右下がり)LM曲線(右上がり)
金融引き締め×左シフト
緊縮財政左シフト×

(3)流動性の罠

 もともと利子率が低すぎて、金融緩和しても利子率が下がらない部分があります。

 これを流動性の罠といいます。

2、金融緩和の効果(通常)

 これでは意味がわからないので、金融緩和の場合についてしっかり議論しましょう。

(1)実質マネーサプライの増加

 貨幣市場では、貨幣供給=実質マネーサプライです。

 実質マネーサプライは、

  • 名目マネーサプライM / 物価P

です。

 金融緩和は、中央銀行が名目マネーサプライを増やすことです。

 結果、実質マネーサプライが増加します。

 これは利子率によらず決まるので、垂直なグラフになります。

(2)利子率の減少

 金融緩和で貨幣供給を増やすと、次の図のように貨幣市場の均衡点が移動します。

 結果、利子率は減少します。

(3)LM曲線の下シフト

 金融緩和により利子率が減りますが、財市場で決まる国内総生産は変わらないです。

 ですので、LM曲線は下シフトします。

3、無効な金融緩和(流動性の罠)

 ただし、金融緩和が無効なときもあります。

 これを流動性の罠といいます。

(1)利子率が最低のとき

 利子率がもともと最低水準とみなされているときは、資産需要が無限大になります。

 なぜでしょうか?

 債券価格は長期保有した場合の魅力度で決まります。

 しかし、投機家たちは長期保有するのではなく、割安のときに買い、割高のときに売ります。

 利子率最低のとき債券価格は最高値をつけますので、すべての投機家が債券を売って、貨幣を手に入れようとします。

 つまり、資産需要は無限大になります。

(2)貨幣需要が無限大

 貨幣需要=取引需要+資産需要ですから、利子率が最低のとき、貨幣需要は無限大です。

 このとき、貨幣市場の均衡点はつぎのように変化します。

 金融緩和して実質マネーサプライを増やしても、利子率は下がらないのです。

(3)流動性の罠の部分

 すると、下の図のオレンジの部分では、利子率は下がりません。

 これが流動性の罠です。

 IS-LM分析をすると、このとき金融政策が無効であることがわかります。