【しまうま総研】論理的な思考は構造・前提・論点に着目して実現する

要約

 論理的な思考は、前提から結論を導く思考法です。ふわふわしていて前提も与えられていない現実の問題を論理的な思考に載せるには、次の手順で行えばいいでしょう。

 一、問題の設定をします。二、問題を分解して、問題の構造を分析します。三、前提と論点を選択します。論点は、自明ではなく、結論に大きな影響を及ぼす要素です。前提は定義・仮定・事実です。前提を正しいとみなして思考を進めます。四、論点について考える方法を設定します。四、論点に集中して考えます。五、結論を出します。六、妥当性評価をします。前提、方法、結論について、直感的・通説的・倫理的・感情的な面から、どれだけ妥当かを主観的・客観的に考えます。七、意義として、もともとのふわふわして前提も与えられていない現実にどう応用できるかを、考えます。

全体像

(1)問題の構造

 問いを「論理的な思考をどう実現するか?」と設定します。この問いを

①論理的な思考の定義は何か

②論理的な思考の目的は何か

③論理的な思考の強みは何か

④論理的な思考の弱みは何か

⑤他の思考法を踏まえているか

⑥以上を踏まえて、どう論理的な思考を実現すればいいか

と分解します。

(2)前提の選択

 前提として①②③④⑤を選択します。

(3)論点の選択

論点として⑥を選択します。

(4)付録一覧

 以下の内容を付録に回しました。

「科学論文の作法『IMRAD』」

 なお、サムネイル素材はUnsplashを用ました。

前提

(1)定義

 しまうま総研では、論理的思考を「前提と論理から結論を導く思考方法」と定義します。論理とは、前提条件の関数です。

(2)目的

 そもそも、論理的思考とは、最善な解を導くのが目的です。したがって

❶最重要なのは、結論が妥当かどうか

です。

(3)強み

 論理的な思考の強みは、導出プロセスが明確なために、異なる立場の人間も妥当性評価でき、発展的な議論に繋げられる点です。異なる立場の人間には、未来の自分、上司、社長、親を含みます。したがって、論理的思考の真価は

❷社会的な知的生産をもたらす

❸社会的な合意をもたらす

にあります。

(4)弱み

 論理的な思考の弱みは

❹現実には多面性があり、一面的な論理的思考では誤った結論を導いてしまう

❺頭でっかちになって行動が遅くなる

❻すべて伝えようとすると非常に時間がかかる

にあります。

(5)有名な思考法

 世の中にはいろんな思考法があります。例えば、次のようなものがあります。

・直感:勘で結論を導く

・現状維持:一般論に従う

・MECE:問題をもれなくダブりなく考える

・ロジックツリー:問題を深掘りする

・仮説思考:仮説を立てて考える

・論点思考:論点を絞って考える

・イシュー思考:自分のおかれた局面で答えを出す必要性の高い問題(イシュー)から考える

・ラテラル思考:隠れた前提を見つけ、前提を変えて考える

・エッセンシャル思考:何をやらないべきか考えて行動する

方法

 論点は「前提①〜⑤を踏まえた上で論理的な思考をどう実現するか?」でした。

 まず、考える手順の案を一つ出します。

 この案が①論理的思考であり、②その目的を果たし、③その強みを活かし、④その弱みを克服し、⑤他の思考法と比べて遜色なければ、暫定解とみなしてよいでしょう。

結果

(1)論理的思考の実行案

 次の実行案を提案します。

 第一に、問題を複数の要素に分解します。ここで多面性のある現実に目を向けて、偏りのある思考をできるだけ避けます。↓

 

 第二に、思考時間を減らしつつ、重要な点を外さないように、論点を絞り込みます。↓

 

 ここで、論理を使います。前提を正しいとみなして、論理を用いて議論を進め、論点についての答えを出します。↓

 

 第四に、議論を踏まえて、結論を導きます。↓

 第五に、「正しさ」について妥当性を評価します。見るべきは前提と結論です。

 最後に、「結論が現実にどう活かせるか?」という意義を明示して終わりです。

(2)検証

 以上の手順を踏めば、❶〜❺をおさえることができます。

・問題の構造→❹現実の多面性を反映

・前提の選択→❺思考速度を速めて行動に素早く繋げる

・論点の選択→❺思考速度を速めて行動に素早く繋げる

・前提と論理の明確化→❷集合的な知性をもたらす、❸社会的な合意をもたらす

・妥当性評価→❶結論が正しいかどうか検証する。

 ちなみに、世の中で言われる思考法との関係性は次のようになっています。

・問題の構造→MECE、ロジックツリー

・前提の選択→仮説思考、ラテラル思考

・論点の選択→論点思考、イシュー思考、エッセンシャル思考

・前提と論理の明確化→論理的思考

・妥当性評価→直感

考察

(1)結論

 論理的思考をまとめると、次の通りです。

(2)妥当性評価

 論理的思考は「❸社会的な合意をもたらす」と述べましたが、これは誤りである場合も多いでしょう。

 社会では「何を言ったか」にくわえて「誰が言ったか」が重要です。なぜなら、

・人はそんなに頭使いたくない

・前提の正しさを疑いはじめると何も進まず、前提の正しさは発言者の信頼度で見積もられる

という現実があるからです。また、立場が異なる場合、特に利害関係が異なる場合、

・前提を原理的に共有できない

という事態が起き、そもそも論理的思考を進めることができなくなるという場合もあります。

 を踏まえると、会話で重要なのは

・普段から信頼を積み重ねる

・現状を踏まえ、相手の立場に立って、前提を設定し、結論を調整する

でしょう。

(3)意義

 以上の内容は文章術に応用可能です。

 しまうま総研が提案する文章フォーマットは、以下の通りです。

・全体像 (1)問題の構造 (2)前提の選択 (3)論点の選択 (4)付録一覧

・前提 ※重要な前提のみ

・方法 (1)問題の再掲 (2)論点の検証方法

・結果

・考察 (1)結論 (2)妥当性評価 (3)意義

・付録 (1)詳細な前提  (2)その他

 なお、詳細な前提とは「定義」「仮定する条件」「仮定しない条件」「事実」に分けられます。 

付録:科学論文の作法「IMRAD」

 この構成は科学論文の作法「IMRAD」を参考にしています。

 Wikipedia「IMRAD」には次のようにあります。

~~~

 IMRAD(イムラッド)は、文章構成 (Organization) の型式 (Style) の名称の1つである。

 IMRADの名前は、Introduction, Methods, Results And Discussionの略に因む。

 その名前の由来通り、IMRAD型の文章は、その骨格部が、少なくともIntroduction, Methods, Results, Discussionの4つの部分に分かれることを特徴とする。

 主に実証研究に基づく自然科学、工学、医学、社会科学、一部の人文科学の論文において、この形式に従った章立てが、よく採用されている。

 IMRAD形式の文章では「広い視点から研究の位置づけをするための話題」から話が始まり、「研究そのものの概要」「研究方法」「研究結果」を経て、再び「研究そのものの概要」「広く一般的に見たときの意義付け」というように話が展開される。

 科学の論文においては、(掲載されている雑誌の特段の規定がない限り)通常、論文はIMRAD型で書かれるものとして認識されているため、それを守らぬ論文は受理されない。

 また、査読のない雑誌や、紀要、その他口頭発表等において、読者(聴衆)はIMRAD型を想定して、読む(聴く)ため、そのような構成をとっていないと読者側に無視される可能性がある。

 このような話は、単なる偏見でも郷に入れば郷に従えという話でもない。

 そういう構成をとった方が科学的な議論をする上で便利だからである。

 IMRAD型で記述しているか否かが、科学的と見なされるか否かの分水嶺であるといっても言い過ぎではない。

~~~

 しまうま総研は、万人が共有できる思考方法としてIMRADは便利だと考えたので、大いに参考にしました。

 ただし、しまうま総研には査読者はおらず、Google検索でピンポイントで読みにくる読者が多いので、IMRADのIntroductionは必要ありません。

 そこで、明確な問いをタイトルにして、問題構造、前提と論点の選択、前提設定の機会を設けました。

コメント欄 お気軽にコメントをお寄せください!

タイトルとURLをコピーしました