ロサンゼルスの歴史を爆速でわかりやすく見ていきます。アメリカ合衆国の太平洋沿岸トップの都市です。都市経済の規模としては、「ニューヨーク→東京→ロスサンゼルス」の世界3位です。
なお、この記事の内容は、受験世界史で問われる難易度を超えるものを多く含みます。
1、アメリカ合衆国以前
- 先史時代インディアンの時代
アメリカ先住民族が住んでいた。
- 1542年スペイン人の来訪
カブリリョは、若くして中米に渡り金鉱を発見したことで、スペイン領メキシコで最も豊かなコンキスタドールになった。
カブリリョはコルテスの命で北上し、ロサンゼルスの入り口となるサンペドロ湾を発見した。
- ヌエバ・エスパーニャ副王領
スペインのヌエバ・エスパーニャ副王領となる。
- 1771年スペインのキリスト教会完成
キリスト教伝道所を建設し、農地を開拓した。ちなみに、この頃、北米大陸東海岸ではアメリカ独立戦争が勃発していた。
- 1810年メキシコの独立運動
1807年、ナポレオンがスペインを占領。王にジョセフをつけた。スペイン時代に利益を得ていた大地主など保守層は、ナポレオンに反対。
1810年、キリスト教司祭のイダルゴによって独立運動が開始される。
- 1821年メキシコ独立
メキシコが独立。メキシコ帝国ができたのち、すぐにメキシコ合衆国が成立する。
- 1846〜1848年アメリカ=メキシコ戦争(米墨戦争)
モンテレーの戦い(wiki) 西部開拓を進めるアメリカ合衆国は、テキサスやカリフォルニアを持つメキシコ合衆国との戦争を開始する。
- 1848年アメリカ合衆国へ
6月14日 から7月9日の約1ヶ月に渡って、カリフォルニア共和国がメキシコから分離独立。戦後、アメリカ合衆国に組み込まれた。
2、ロサンゼルスの誕生
- 1848年ゴールドラッシュ
カリフォルニアのサクラメント東方で金鉱脈が発見された。発見者は当初秘密にしていたがすぐに噂は広まった。
- 1849年フォーティーナイナーズの流入
ニューヨーク発サンフランシスコ行きの高速帆船の広告(wiki) 一攫千金を夢見る人々8万人がカリフォルニアに殺到。彼らは、「49年組」フォーティーナイナーズと呼ばれた。
ちなみに、彼らはどうなったかというと、多くの人々がやってきたので生活物資が不足。現地の小麦価格は40倍へ跳ね上がった。結果、フォーティーナイナーズは生活に困窮した。
一方で、フォーティーナイナーズ向けに道具を提供した者、金貸しを行った者は巨利を得た。
- 1850年ロサンゼルス市の誕生
とはいえ、この頃のロサンゼルス市の人口は1610人に過ぎなかった。
- 北のサンフランシスコ市と共に発展
野菜や柑橘類などをアメリカ合衆国東部に輸送する拠点として、発展した。
- 1861~65年南北戦争 〜黒人流入〜
アメリカを工業派・農業派の対立を背景に、奴隷制を巡り、国家が二分される内戦が勃発した。
カリフォルアは自由州であり、多くの黒人が流れ込んだ。
- 1865年サザンパシフィック鉄道会社設立 〜中国人流入〜
大陸横断鉄道建設のために、労働力として多くの中国人が流入した。
当時、中国・清はアヘン戦争(1840~1842)、アロー戦争(1856~1860)で荒廃していたのである。
- 1871年白人が中国人を虐殺
大量に流入した中国人に職を奪われ、白人の不満は募っていた。そこに、中国人が白人を殺す事件が起きたため、白人がチャイナタウンになだれ込み、数十人を虐殺した。
- 1882年1882年中国人排斥法
中国人移民が禁止された。
3、世界都市への飛躍
- 1873年オレンジ栽培が盛んになる
ネーブルオレンジがブラジルから持ち込まれヒットした。大陸横断鉄道でアメリカ東部へ輸送された。
- 1890年石油産業の発展
カリフォルニア油田が発見され、石油産業が発展。アメリカ工業を支えた。
この年のロサンゼルスの人口は10万人。
- 1911年ハリウッドの誕生
Photo by Nathan DeFiesta on Unsplash 乾燥した青空の広がるカリフォルニアは映画撮影に適していた。それに加え、映画発明者エジソンの特許侵害してもバレにくい西の果てでは、映画を撮りやすかった。
こうして、ハリウッドに1911年、初めて映画会社が設立された。
1920年には、世界の映画の80%がカリフォルニアで製作されるようになる。ちなみに、ミッキーマウスの誕生は1928年。
- 1910年代航空機産業興る
1910年代、航空機メーカーが続々誕生、28年には20社以上に増加。
安定した気候・安く広大な土地・高等教育の充実がそろったロサンゼルスは、航空機産業に適していたのである。
高賃金労働者はエンタメ産業の発展の土台になった。
- 1920年代アメリカは世界一の経済的繁栄を謳歌
NYの建造ラッシュ(奥はクライスラービル・手前はエンパイヤステートビル)(1930年) 第一次世界大戦を無傷で終え、大戦中の輸出と金融で大儲けしたアメリカは、世界一の繁栄を遂げた。「狂騒の20年代」である。
- 1920年代農村からの人口流入
しかし、過剰生産で農業は不況に陥る。結果、農村地域からロサンゼルスへの人口流入が増大した。
- 1929年世界恐慌
ニューヨーク証券取引所での株価暴落を機に、世界的な不況へ突入。ロサンゼルスの失業者は、28%に達した。
- 1939年~1945年第二次世界大戦
ドイツを空爆するB17(wiki) 日本軍に攻撃されてアメリカは第二次世界大戦に参戦。ロサンゼルスは航空軍事産業の拠点として好景気に沸いた。
このとき、ロサンゼルスの日系アメリカ人居住区「リトルトーキョー」の住民は、隔離された。
- 1950~60年代成長
大戦中の移住者・退役軍人がロサンゼルスに留まり、ベビーブームが発生。人口は増加。
ロサンゼルスは郊外へ拡大を遂げた。
- 1965年ワッツ暴動
ワッツ暴動での炎上(wiki) ワッツには、多くの黒人が流入し、黒人のスラム街が形成されていた。そして、強い人種差別に黒人の不満は溜まっていた。
1965年、白人警官による黒人逮捕をきっかけに暴動が発生。4000人以上の逮捕者を出した。
- 1970~1980年代産業構造の変化
グローバルな競争が始まると、製造業が国外に移転、産業の空洞化が起きた。
一方で、軽工業とハイテク産業が栄え、さらなる経済成長を遂げた。
この結果、製造業に務めていた黒人の失業率が上昇、ヒスパニック系が軽工業の低賃金労働者として働き、格差が拡大した。
- 1992年ロサンゼルス暴動
ロス暴動で破壊された建物(wiki) 経済成長の裏での人種差別・経済格差問題を背景に暴動が発生。1万人の逮捕者を出した。
アメリカ現代文化にも大きな影響を与えた。
- 1994年ノースリッジ地震
200億ドルの経済損失を出した。
- 90年代後半〜再開発
空洞化した都市の再開発が行われ、都市は一新された。結果、全米でも名高い都市として見られている。
- 現在今のロサンゼルス
Photo by Denys Nevozhai on Unsplash アメリカ合衆国第二位の都市。人口は976万人。ロサンゼルス都市圏の面積・人口は、京阪神地域に匹敵する。
都市の経済規模はニューヨーク・東京に次いで世界3位。
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