マンデル=フレミング・モデルをわかりやすく解説!

IS-LM分析

 IS-LM分析を拡張し、貿易がある経済(開放経済)を考えることができます。

 これをマンデル=フレミング・モデルといいます。

 マンデル=フレミング・モデルでは、変動相場制と固定相場制で有効な政策が異なることがわかります。

1、財市場の均衡 〜IS*曲線〜

 GDPの計算式より

です。それぞれ

  • 消費C:国民所得Yによって変化
  • 投資I:利子率rによって変化
  • 政府支出:財政政策によって変化
  • 純輸出:為替レートeによって変化

すると考えます。

 さて、短期的には総需要が国内総生産Yを決定します。

 ここで45度分析を用いて、為替レートeの上昇による国内総生産の変化を調べましょう。

 為替レートeが上昇するとは、1ドル=80円から1ドル=120円に変わることです。

 つまり、自国通貨の減価(円安)です。

 このとき、安くモノが売れるので輸出が伸び、高くモノを買わせられるので輸入が減ります。

 結果、純輸出が増加し、総需要が伸び、国内総生産が伸びます。

 したがって、短期的には為替レートが増えると、国内総生産は伸びます。

 これを為替レートeを縦軸、国内総生産Yを横軸にして、財市場の均衡条件をグラフ化します。

 これがIS*曲線です。

 「*」がついているのは、通常縦軸には利子率がくるところが、為替レートがきているからです。

2、貨幣市場の均衡 〜LM*曲線〜

 次に貨幣市場について考えましょう。

 貨幣需要は次のように取引需要と資産需要に分けることができます。

  • 取引需要:国民所得Yによって変化
  • 資産需要:利子率iによって変化

と考えます。

 一方で貨幣供給は

  • 【貨幣供給(実質マネーサプライ)】=【名目マネーサプライM】/【物価P
  • 名目マネーサプライ:金融政策によって決定
  • 物価:短期のため一定と考える

ですので、利子率にかかわらず一定です。

 つまり、垂直な直線になります。

 

 さて、ここでもう一つ。

  • 完全な資本移動の自由:貸付に国内外での障壁はない
  • 小国:自国が小さく、世界の金融市場に影響を与えることができない

を仮定します。

 このとき、国内利子率=世界利子率に固定されます。

 例えば、黄色の線に国内利子率が下がったとしましょう。

 すると、国内資産家は海外に貸付を開始します。

 このとき、自国通貨→外貨への交換が行われます。

 自国通貨が減価(円安)し、輸出が有利になり、国内総生産が拡大。

 国内総生産が拡大したことによる取引需要増大で、貨幣市場は均衡します。

 もし世界利子率が変わらないなら、国内総生産は一意に決まります。

 ここで為替レートを縦軸に、国民所得を横軸にとると、次のようなLM *曲線が描けます。

 これが貨幣市場の均衡条件です。

3、マンデル=フレミング・モデル

 財市場と貨幣市場を同時に均衡させるのはどのようなときでしょうか?

 均衡為替レートと均衡国民所得の組み合わせは、IS*曲線とLM*曲線の交点で導けます。

 全体としては次のように考えることができます。

4、経済政策の効果

 さて、ここで経済政策の効果を考えます。

 まず、拡張財政は総需要を創出するので、IS*曲線は右シフトします。

 

 金融緩和すると、世界利子率のもとで達成すべき国民所得が増えるので、LM*曲線は右シフトします。

5、変動相場制の場合

 変動相場制の場合、経済政策はどのような効果を生むのでしょうか?

 拡張財政のとき、IS*曲線は右シフトします。

 しかし、均衡為替レートが減少する(自国通貨の増価=円高)で純輸出が減少して、最終的に均衡国民所得は変わりません。

 ですので、変動相場制では財政政策は無効です。

 

 金融政策はどうでしょうか?

 金融緩和すると、LM*曲線が右シフトします。

 すると、自国通貨が減価(円安)して、純輸出が増えます。

 この結果、国民所得が増えるのです。

 結論は、

  • 変動相場制では、金融政策しか効果を持たない。

となります。

6、固定相場制の場合

 固定相場制の場合はどうでしょうか?

 拡張財政をするとIS*曲線が右シフトします。

 すると、為替レートに下降圧力がかかります。

 中央銀行はこれを相殺するように名目マネーサプライを増やします。

 結果、国民所得は増えます。

 

 金融政策のみではどうでしょうか?

 金融緩和を行うと、LM*曲線が右シフトします。

 均衡為替レートに上昇圧力がかかります。

 しかし、中郷銀行はこれを相殺するように名目マネーサプライを減らさなくてはいけません。

 結果、せっかく右シフトしたLM*曲線は左シフトし、金融政策の効果は無効化されます。

 結論は

  • 固定相場制では、財政政策しか効果をもたない。

7、国際経済のトリレンマ

 マンデル=フレミング・モデルからは、国際経済に関わる一つの結論が導けます。

  • 自由な資本移動(世界利子率=国内利子率)
  • 固定相場制度(為替レートは一定)
  • 独立した金融政策(需要管理の手段として金融政策をできる)

は同時に成り立たないということです。