マルサスの絶望とソローの楽観

 マルサス

  • 食料は必要だが、食料生産能力は等差数列でしか増えていかない
  • 異性間の性欲は抑えられず、人口は等比数列で急速に増えていく

ゆえに、

  • 人口政策をしない限り、一人当たりの食料はどんどん少なくなり、絶望的な貧困に陥る

と述べました。

 一方で、経済成長理論で有名なソローでは

  • 長期的には一人当たりの豊かさは、定常状態に至る
  • 技術進歩があれば、永続的に豊かさは増大する

というモデルを打ち立てました。

 このマルサスの絶望ソローの楽観のどちらが間違っているのでしょうか?

しまうま

東大生/ 欲しいものは大局観。目指すは全体最適。|経済学の考え方が好きです。

1、等比数列的な人口成長

(1)50年で25億から61億に増大した世界人口

 等比数列的な人口成長とは、人口成長率が変わらないことを意味します。

 実際にここ数百年において人類は急速に増加しました。

 20世紀後半に注目しましょう。

 1950年に世界人口は25億でしたが、2000年には61億でした。

 だいたい年1.8%の人口成長です。

(2)毎年1.8%の成長

 この成長率が過去から未来にかけてずっと続いているとすると、下の式が立てられます。(この記事で数式はここしか出てきません。)

※数式の解説

 1.8%の成長とは、毎年1.018倍になるということです。(「等比」で増えていく)

 年号=1950を代入すると、25億人となります。

 年号=2000年を代入すると、だいたい61億になります。

(3)グラフにしてみよう

 上の式をGeoGebra関数グラフというフリーサイトを使ってグラフを作ってみます。

 すると、下図のように描くことができます。

 2020年を見ると、現実と数式の乖離が見えますね。ただ、まだ誤差範囲のように見えます。

2、マルサスの人口論(笑)

(1)人類2000年史

 ここで永久に等比数列的な成長をしているとすると、過去2000年の人口推計もできます。

 これが下のグラフです。

 曰く、200年後の世界人口は2000億人を突破し(注:現在は約80億)、2000年前の世界人口は0です。

(2)サピエンス全史

 現生人類は20万年前に出現し、7万年前に出アフリカしました。

 ですので、時間軸は数万年単位に伸ばせます。

 すると、人口のグラフは下のようになります。

 グラフが直角になってるやないかい!(※微分可能です)

 こんなのありえるわけないでしょう。

(3)結論

 マルサスは異性間の性欲は抑えられないことを仮定していましたが、これは間違っていたということです。

3、等比数列的な資本蓄積(笑)

 実のところ、ソロー・モデルも等比数列的な人口成長を仮定しています。

 それでも一人当たりの豊かさが維持できるのは、資本が人口成長率以上の成長率で増大できることが仮定されているからです。

 これまた上記のようなおかしな結論になってしまいます。

4、結論

 結論として、マルサスの絶望もソローの楽観もともに超長期的には間違っているということになります。

 マルサスにせよ、ソローにせよ、等比数列的な考えを用いるなら、あまりに成長速度が早くすぎます

5、エピローグ

 なお、ソローに関しては逆に見方ができます。

「たしかにモデルは間違っている。しかし、この場合、ソローモデルの『永続的な豊かさは可能』の結論はむしろ強固になっているのでは?こんなありえない人口成長率でも、プラスの技術進歩があれば一人当たりGDPは増えるんだぜ?」

という見方です。

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