最適消費 / 予算制約下での効用最大化

消費者理論

 消費者はどのように消費計画を決定するのでしょうか?

 生きるために必要な水はもちろん手に入れます。

 けれども、生きるのに必要のないマンガや旅行にもお金を払います。

 それに予算の存在を忘れてはいけません。

 この記事では、消費者行動を定式化して、シンプルに記述したいと思います。

1、想定される消費者像

 経済学では、経済主体はある目的関数を最大化するように行動すると考えます。

 消費者の場合は、「満足度の最大化」です。

 ただ、際限なく自分の欲望を叶えることはできません。

 そこで、予算という制約条件をつけます。

 経済学では、消費者を「予算制約下での効用最大化」する存在とみなして議論を進めます。

 言い換えると、「おサイフの範囲内で満足度を最も大きくするように買うモノを決める」ということですね。

 これが経済学における消費者像です。

 堅苦しい言葉を使うと身構えてしまいますが、内容としては納得できるものです。

 では、経済学ではどのようにこの最大化問題を解くのでしょうか?

2、最適消費の定式化

 予算制約下での効用最大化とは、「制約条件の下での最適化問題の解」として定式化することができます。

 必要な要素は

  • 効用関数:u(x)
  • 財の消費量:x
  • 財の価格:p
  • 予算:I

です。

 これらを用いると、次のように考えることができます。

※maxはuを最大化するの意味。s.t.はsubject toの略で〜の制約条件での意味。pxは(価格p)×(消費量x)=支出です。

 ただ、これは「予算制約下での効用最大化」を数学的に表記しただけですので、一旦忘れましょう笑

 ミクロ経済学で重要になってくるのは、次の解釈です。

3、無差別曲線と予算制約線

(1)消費計画のグラフ化

 市場に2財しかないと考えましょう。(2財モデル

 すると、消費計画は次のグラフの点で表すことができます。

(2)無差別曲線と予算制約線

 このグラフに効用と予算を反映させましょう。

 効用は、「この曲線の上の消費計画なら、満足度同じだよ〜」という無差別曲線で表します。

 予算は、「この直線の上の消費計画が、予算を使い切るよ〜」という予算制約線で表します。

 例えば、グラフでは、効用が定数u*のときの無差別曲線が赤で、予算が定数Iのときの予算制約線が青のように表せます。

(3)最適消費点は接点

 では、どのようなとき、予算制約下での効用最大化となっているのでしょうか?

  • 無差別曲線は右上ほど、効用uが大きい(←無差別曲線
  • 予算制約線の内側なら、予算内(←入手可能領域)

という知識があれば、消費計画Bが予算制約下での効用最大化問題の解であることがわかります。

4、効用最大化とはなんだったのか

 では、消費計画Bで無差別曲線予算制約線が接していることは何を意味しているのでしょうか?

 無差別曲線の傾きは限界代替率を意味しており、予算制約線の傾きは価格比を意味しています。

  • 限界代替率nは「1財1単位」と「2財n単位」は同じ効用だから交換可能

を意味しますから、主観的交換比率です。

 一方で、

  • 価格比mは、「1財1単位」と「2財m単位」は同じ貨幣的価値だから交換可能

を意味しますから、客観的交換比率です。

 したがって、主観的と客観的な価値が同じになる点で、効用最大化されることを意味します。

4、ラグランジュの未定乗数法を用いる

(1)2財モデル

 限界代替率が価格比になることをラグランジュの未定乗数法を用いて証明してみましょう。

 前提知識は

です。

(2)n財モデル

 ところで、式をよくみると面白いことがわかります。

 x1,x2,x3,x4・・・xnのn財の効用関数uを想定しても、λに注目してまとめると、全く同じ計算ができることがわかります。

 つまり、任意の2財を選ぶすべてのパターンについて限界代替率=価格比が成り立つということです。

 無差別曲線と予算制約線ではなく、数学を用いるとより一般性の高い結論が導けました。

(3)残された課題

 ただ、これは「効用最大化しているなら、限界代替率=価格比であることが必要」ということに過ぎません。

 その解の存在証明をしなくてはいけません。

 これはどうやら一般均衡理論で証明済みのようですが、私はよくわかってません。

 常識的に考えると、そんなにうまくいくことはないと思いますが…