理想的な経済成長はどのような状態でしょうか?
この国民にとって最も豊かな状態を経済成長の黄金律といいます。
この記事では
- ソロー・モデルにおける黄金律とは?
- 資本の黄金律の計算
- 貯蓄率の政策目標
- 黄金律の例題と解き方
について解説します。
1、ソロー・モデルにおける黄金律
(1)最も豊か=消費が最大
理想的な経済成長はどのような状態でしょうか?
経済学では「一定の成長率で進む経済成長のうちで、消費が最も多い経済成長」を経済成長の黄金律といいます。
ここで経済成長理論として最も有名なソロー・モデルでは、経済成長の黄金律はどこで達成されるのかを考えてみましょう。
なそ、ソロー・モデルでは定常状態で経済成長率は一定となります。
(2)ソロー・モデルでの消費はどこ?
ソロー・モデルのグラフのどこが消費にあたるでしょうか?
ソロー・モデルでは、
- 投資=貯蓄=(貯蓄率s)×(一人当たりGDP)=s×f(k)
と考えるので、消費と貯蓄は緑で指し示されている部分になります。

(3)問い:消費が最大になる定常状態とは?
さて、ソロー・モデルでは最終的な経済規模は
- 【貯蓄率s】×【生産関数f(k)】ー【定数】【一人当たり資本k】=0
で決まります。
これを定常状態と言います。
さて、貯蓄率sを変化させると次のように定常状態を変えることができます。
そして、消費も変わっていきます。
ではどこで消費は最大になるでしょうか?

(4)黄金律の定常状態
消費が最大になるときは、赤い2直線が平行のときです。(理由は補論で扱います。)
このとき
- (接線の傾き)= 資本の限界生産力MPK
- (下の線の傾き)=一人当たりの資本の減少を表す定数
が等しくなります。
ここで当然、「定数とはなに?」となるわけですが、これはモデルによって異なります。
次の節で見ていきましょう。

2、黄金律の計算方法
(1)資本の黄金律k *
一人当たりの資本の減少を表す定数には、次の要因などがあります。
- 資本減耗
- 人口増加率
計算問題ではこれを代入すれば、資本の黄金律k*を求めることができます。
一人当たりの資本の減少を表す定数 | 黄金律の式 | 資本の黄金律 |
資本減耗率δ | f'(k*)=δk* | 左式が成り立つk* |
人口増加率n | f'(k*)=nk* | 左式が成り立つk* |
資本減耗率δ+人口増加率n | f'(k*)=(δ+n)k* | 左式が成り立つk* |
(2)黄金律の貯蓄率s
では、政府は一体何をすればいいでしょうか?
政府は、生産関数f(k)、資本減耗率δ、人口増加率nを変えることはできませんが、貯蓄率sに影響を与えることができます。
つまり、この黄金律の貯蓄率sを達成することが政府の政策目標となるのです。
(なお、貯蓄率を増やすには、民間消費・財政赤字の抑制が必要です。)

(3)例題と解き方
最後に黄金律に関する例題を出します。


3(補論)、MPK=δになる理由
最後に、MPK =δになることを微分を用いて説明します。
