序数的効用と基数的効用

「効用関数? (゚Д゚)ハァ?  幸せの量なんて測れないよ。そんな霧みたいなものに立脚して、どうやって経済学を構築するのさ?」

要約

 経済学は幸せを「量」で測らず、「順序」で考えています。前者を基数的効用、後者を序数的効用といいます。これにより「効用の量なんて測れないよ!」という批判を回避しています。

選好

 冒頭の「効用関数? 幸せの量なんて測れない」は、鋭いご指摘です。しかし、経済学は効用を量的なものではなく、順序的なものとして捉えています。順序は原理的には測定可能です。

 「順序的」とは

$$A \succ B \cdots Aは、Bより好ましい$$

$$A \sim B \cdots Aは、Bと同じくらい好ましい$$

というように、選択肢Aと選択肢Bの好ましさの順番のみ比較することです。これで表現できる個人の好みを、経済学では「選好」といいます。

効用関数

 しかし、これでは論理的な操作がやっかいです。そこで、次のように「効用関数」を導入します。

$$A \succ B  ならば U(A) > U(B)$$

$$A \sim B  ならば U(A) = U(B)$$

 選好は順序関係しか意味してませんから、効用関数も大小関係しか意味を持ちません。つまり

$$A \succ B $$

ならば

$$U(A) =2, U(B)=1$$

でも

$$U(A) =10, U(B)=1$$

でもいいのです。効用関数は、選好の関数表現※1に過ぎません。

序数的効用

 このように大小関係しか意味を持たない効用を、序数的効用と言います。選択肢Aが選択肢Bより、2倍好ましいとか、10倍好ましいといった量的な意味合いを含みません。経済学では、この序数的効用を採用しています。原理的には測定可能です。

基数的効用

 逆に、選択肢Bの方が選択肢Aより、2倍好ましいとか、10倍好ましいといった量的な意味合いを含む効用を、基数的効用と言います。これは測定不可能という欠点を抱えています。

 しかし、過去には、基数的効用に立脚した有名な理論があります。「最大多数の最大幸福」で有名なベンサムの功利主義です。実は冒頭のご批判は、功利主義批判の中でも有名なものです。

 そう考えると、経済学は序数的効用を想定すること※2で、この功利主義批判を克服した理論だと言えるでしょう。

注釈

※1:選好と効用関数については、経済学研究科のミクロ経済学(院生向け)で厳密に考察しています。

※2:ただし、現代の経済学にも、期待効用など、基数的効用で議論する場合があります。

コメント欄 お気軽にコメントをお寄せください!

タイトルとURLをコピーしました