【成長会計とは】経済成長の実証分析

ソロー・モデル

 成長会計とは、経済学者ソローが考案した現実のGDP成長率の要因を分析する方法です。

 ソローは学部で習う最も有名な経済成長理論ソロー=スワン・モデルの考案者でもあります。

 この記事では、成長会計について

  • コトバ編
  • 実証分析編
  • 理論編

でお送りします。

1、成長会計で使うコトバ

(1)経済成長の3要素

 何が日本のGDP成長率に影響を及ぼしているのでしょうか?

 経済学では生産活動に使われる生産要素を、

  • 資本(設備、機械、工場)
  • 労働(従業員、労働時間、スキル)

 に分けます。

  さらに、残りの部分を

 と名付けます。

 理論的には全要素生産性は技術進歩と解釈することができます。※

 これが経済成長に影響をおよぼす3つの要素です。

※実際の統計では雑多なすべてのものがノイズとして含まれてしまいます。

(2)成長会計の式

 さて、経済学の成長会計という分析手法を用いると、GDP成長率に資本労働全要素生産性がどのように寄与したかがわかります。

 具体的には次のことがわかります。

2、日本の成長会計

 さて、実際に1995〜2015年について成長会計をおこなってみますと、次のようになります。

1995年から2015年の日本の成長会計
グラフは管理人が作成。注:データの出典は独立行政法人経済産業研究所(RIETI)のJIPデータベース2018

 グラフからわかるのは、資本労働よりも、全要素生産性の伸び率がGDP成長率に大きく影響を与えているこということです。

 さきほど述べた通り、全要素生産性の向上は技術進歩といえますから、日本のGDP成長率には技術進歩が大きな役割を果たしていると分析できます。

 この傾向は産業革命以来に世界中で見られる傾向で、ここから「科学や研究開発が国家的に重要である」との経済学的な認識が生まれるのです。

3、成長会計の理論的背景

 さて、ここからは成長会計がどのような想定に基づいて設計されているのかを解説します。

(1)GDPを決める生産関数

 経済学では長期的にはGDPは供給側によって決まると考えます。

 資本K労働L、技術変数Aによって次のようにGDPを表すことができます。

 また、生産関数はよく取り上げられるコブダグラス型生産関数を想定します。

成長会計でつかうGDPの導出方法

(2)GDP成長率の要因分解

 変化率を考えるときは対数logをとってやると、次のように足し算に分解することができます。

GDP成長率を対数表示して分析する

(3)ソロー残差の導出

 「だから何?」と思われると思います。

 けれども、コブダグラス型生産関数で企業が利潤最大化すると、αが資本分配率、1-αが労働分配率になるということが経済学的にわかっています。

 労働分配率は人件費率ですから既知です。

 すると次の変数は既知で

 未知は

のみとなります。

ソロー残差

 この残ったlogBをソロー残差といい、全要素生産性TFPと見なすことができます。

 こうして、技術進歩の影響を測ることができるのです。