制約条件下での効用最大化

 ミクロ経済学で出てくる「予算制約下での効用最大化」って、さらっと素通りしちゃう定式化だと思いますが、人生において重要な教訓とも解釈できます。

要約

 悩み事の中には、自分にはどうしても実現不可能な悩みも含まれています。それを悩むのは無駄なんだと気づくことが重要な時もある気がします。(難しいけどね!)

制約条件下の効用最大化

 「効用最大化を考えることは幸せのあり方を考えることと同義」と効用最大化についての記事で述べました。

 けれども、幸せについて、見逃せないポイントがあります。自由※1な意思決定の限界です。我々は無数の可能性に開かれていますが、無数の可能性が閉ざされています。これを考えにいれてやらないといけないわけです。

 ここで「制約条件下での効用最大化」という経済学の立場を明確に示しましょう。これは次のように記します。

$$\max_{X} U(X)$$

$$s.t. X \in P$$

 U(X)は効用関数、maxは最大化、s.t. ◯は「◯の制約のもと」、Pは実行可能なすべての選択肢、Xは選択肢、「 X ∈ P」 は「XはPに属する」を意味します。

 つまり、上式は「効用を最大化する選択肢を選ぶ。ただし、実行可能な選択肢の中からしか選べない」ということを意味します※2。

 効用最大化と制約条件。この二つで、経済学は人間行動を説明しようとします。

パスカルと京大生

 ここで一つ昔のしまうまに刺さった文章をご紹介したいです。

「今ある快楽が偽りであるという感じと、今ない快楽のむなしさに対する無知とが、定めなさの原因となる(パスカル『パンセ』※3)」

 あと、京大を舞台にした小説・アニメの一説もご紹介しましょう。

「我々の大方の苦悩は、あり得べき別の人生を夢想することから始まる。自分の可能性という当てにならないものに望みを託すことが諸悪の根源だ。今ここにある君以外、ほかの何物にもなれない自分を認めなくてはいけない(森見登美彦『四畳半神話大系』※4)」

YouTubeリンク:「四畳半神話体系 名シーン」

 変えられないものは変えられない。今与えられた範囲でモノを考えることが大事な時も多いように思います。※5

 今を大事ね…昔の僕…今もか

注釈

※1:自由には

  • 国家や上位者の抑圧がないという自由
  • 抑圧がなければ、能力的に実現可能であるという自由

の2つがあり、この記事では後者を考えました。いわば

  • 恋愛は可能という校則的な自由

は持っているけれども、

  • 告白すれば、格好いい/可愛いAさんを恋人にできるという能力的な自由

は持っていないような不自由さについて考えました。

※2、※5:1期間モデルではなく多期間モデルを考えるなら、制約条件を広げつつ効用最大化するという考え方も可能です。その場合、今期をt期とすると、t-1期までは選択がすでに確定していて、t期は今ある制約の中で選択する自由だけあって、t+1以降は制約条件も拡張可能で選択する自由もあります。

※3:ブレーズ・パスカル(1670)『パンセ』(訳:前田陽一・由木康)

※4:森見登美彦(2008)『四畳半神話大系』

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