消費と貯蓄の決定(異時点間の最適消費)

消費者理論

 消費と貯蓄はどのように決まるのでしょうか?

 貯蓄の真の意味は、将来での消費です。

 ですので、消費か貯蓄かは、異なる時点間の消費ということになります。

1、無差別曲線での理解

(1)無差別曲線

 現在消費C1と将来消費C2に関して、次のような無差別曲線が引けます。

 限界代替率は逓減するという普通の形状をしています。。

(2)予算制約線

 消費Cと貯蓄Sの問題を考えるので特殊であるのは、予算制約線です。

 現在所得Y1と将来所得Y2がありますが、この合計が予算制約ではありません。

 貯蓄S1すると、利子率rが上乗せされて返されます。

 2期終了時にすべての貯蓄を切り崩すとすると

  • C2-Y2=(1+r)S1

になります。

 ですので、予算制約線は次のように書くことができます。

(3)最適消費点

 ここまで準備すれば、予算制約下での効用最大化と同じように考えます。

 予算制約線と無差別曲線の接点で最適消費点が決まるのです。

(4)利子率が上昇したとき

 もし利子率が上昇したらどうなるでしょうか?

 まず、現在所得Y1と将来所得Y2は変わりません。

 予算制約線はここを必ず通りますから、(Y1,Y2)を中心に回転します。

 利子率rが増えたので傾きは急になり、新しい最適消費点が形成されます。

 図のように代替効果と所得効果にわけて考えることもできます。

2、オイラー方程式の導出

 次に数学をもちいて考えてみましょう。

(1)生涯所得I

 消費C1は、現在所得Y1から貯蓄S1を差し引いたものです。

 また、消費C2は将来所得Y2に貯蓄切り崩しを加えたものです。

 これは次のように表せます。

 これを少し変形してやり整理すると、次のような生涯所得の式が導出できます。

 これは一体何かというと、1期の時点からみた割引現在価値で考えた生涯所得です。

 消費にも所得にも2期のモノには、1/1+rがついています。

(2)主観的割引率のある効用関数

 これは1期の時点から見た生涯効用です。

 現在の効用はそのまま計上しますが、将来のことは予想される効用に過ぎないので、少々割り引いてあげます。

 これが1/1+ρの主観的割引率です。(なお、ρは時間選好率です。)

(3)効用最大化からオイラー方程式の導出

 するとつぎのように考えることができます。

 これがオイラー方程式です。

(4)オイラー方程式の解釈

 ここでオイラー方程式を解釈しましょう。

 結論としては、

  • 時間選好率ρ>利子率rなら、現在消費の方が多い
  • 時間選好率ρ=利子率rなら、現在消費=将来消費
  • 時間選好率ρ<利子率rなら、将来消費の方が多い

となります。

 もっと言い換えれば

  • 我慢強くないなら、現在消費が多い要因になる
  • 貯蓄の収益率が高いなら、将来消費が多い要因になる
  • 収益率と我慢強さが一致するような合理的な個人のとき、消費は平準化する

となります。

 なぜでしょうか?

 ヒントは限界効用逓減の法則にあります。

 下図と式を見てください。

 たとえばr>ρのとき、1+r/1+ρは1より大きくなります。

 すると、オイラー方程式の左辺が一定とすると、u'(C2)は小さくなります。

 つまり、u'(C1)>u'(C2)です。

 ここでu'(C)が限界効用で、限界効用は逓減することに注目してして図をみます。

 u'(C1)>u'(C2)になるときは、C1<C2のときです。

 したがって、

  • 時間選好率ρ<利子率rなら、将来消費の方が多い
  • 貯蓄の収益率が高いなら、将来消費が多い要因になる

といえるのです。

 他についても同じように考えることができます。