消費者にとってどんな社会が効率的なのか?

消費者理論

 消費者にとって、どのような社会が効率的なのでしょうか?

 効率的とは、消費者の好みにあうように無駄なく資源が配分された状態です(神取2014)。

無差別曲線から効率性を考える

 さて、ある一人の消費者について考えてみます。

 無差別曲線での議論では、

になるときに効用最大化が達成されるとわかりました。

 一方で、価格比はすべての人が同じく直面しています。

 したがって、消費者にとっての効率性の条件は

  • 価格比=Aさんの限界代替率=Bさんの限界代替率=Cさんの・・・

となる社会です。

 客観的交換比率(価格比)が、すべてのひとの主観的交換比率(限界代替率)と等しくなる場合です。

 このときに、消費者にとって効率的な社会が実現します。

計画経済での効率性の達成

 ちなみに、すべての人の限界代替率が等しくなるように資源配分をすることで、同じ状況をつくることが可能です。

 これが計画経済が消費者の効率性を達成する場合です。

 このとき市場がないので価格比は明示されないですが、限界代替率がシャドープライスと呼ばれる理論的な価格になります。

 計画経済の立案担当者は、効用関数を推計し、限界代替率の平準化(=シャドープライスの計算)に勤める必要があります。

市場経済の優位性

 では、計画経済と市場経済はどちらがよりよいでしょうか?

 これは市場経済です。

 理由は次の2つです

  1. 計画経済であれば、中央集権的に計算する必要があり、運用コストが高い。市場経済であれば、個人の分権的な意思決定に任せることができ、運用コストはゼロ
  2. 計画経済であれば、政策立案者がニーズを完璧に把握する必要があり、効率性の達成は難しい。一方で、市場経済であれば、個人の意思決定に任せることができ、効率性の達成は容易

 したがって、消費者目線で考えるとやはり市場経済がいいのです。

 これは厚生経済学の第一基本定理の重要な結論になります。

適当な所得再配分の必要性

 ただし、これには個人が十分な可処分所得をもっていることが前提になります。

 適当な所得再配分によって、すべての人が一定程度の効用(健康で文化的な最低限度)を必ず達成できるようにする必要があります。

 これは厚生経済学の第二基本定理に関わってくる事柄です。

理想的な経済体制

 そうなると、消費者にとって理想的な経済体制とは

  • 資源配分→市場メカニズム
  • 所得配分→政府の介入は一定程度必要

といえるのです。