8.消費者にとってどんな社会がよいのか【消費者理論】

 消費者にとって、どのような社会が効率的なのでしょうか?

 効率的とは、消費者の好みにあうように無駄なく資源が配分された状態です(神取2014)。

無差別曲線から効率性を考える

 さて、ある一人の消費者について考えてみます。

 無差別曲線での議論では、

になるときに効用最大化が達成されるとわかりました。

 これは「自分が主観的に払ってもいいと思うだけの価格を払って商品をゲットする」という状態です。

 一方で、価格比はすべての人が同じく直面しています。

 したがって、消費者にとっての効率性の条件は

  • 価格比=Aさんの限界代替率=Bさんの限界代替率=Cさんの・・・

となる社会です。

 客観的交換比率(価格比)が、すべてのひとの主観的交換比率(限界代替率)と等しくなる場合です。

 このときに、消費者にとって効率的な社会が実現します。

計画経済での効率性の達成

 ちなみに、すべての人の限界代替率が等しくなるように資源配分をすることで、同じ状況をつくることが可能です。

 これが計画経済が消費者の効率性を達成する場合です。

 このとき市場がないので価格比は明示されないですが、限界代替率がシャドープライスと呼ばれる理論的な価格になります。

 計画経済の立案担当者は、効用関数を推計し、限界代替率の平準化(=シャドープライスの計算)に勤める必要があります。

市場経済の優位性

 では、計画経済と市場経済はどちらがよりよいでしょうか?

 これは市場経済です。

 理由は次の2つです

  1. 計画経済であれば、中央集権的に計算する必要があり、運用コストが高い。市場経済であれば、個人の分権的な意思決定に任せることができ、運用コストはゼロ
  2. 計画経済であれば、政策立案者がニーズを完璧に把握する必要があり、効率性の達成は難しい。一方で、市場経済であれば、個人の意思決定に任せることができ、効率性の達成は容易

 したがって、消費者目線で考えるとやはり市場経済がいいのです。

 これは厚生経済学の第一基本定理の重要な結論になります。

適当な所得再配分の必要性

 ただし、これには個人が十分な可処分所得をもっていることが前提になります。

 適当な所得再配分によって、すべての人が一定程度の効用(健康で文化的な最低限度)を必ず達成できるようにする必要があります。

 これは厚生経済学の第二基本定理に関わってくる事柄です。

理想的な経済体制

 そうなると、消費者にとって理想的な経済体制とは

  • 資源配分→市場メカニズム
  • 所得配分→政府の介入は一定程度必要

といえるのです。

消費者理論
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こんにちは^ー^
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3295さん、3498さん、こんにちは〜
まれびと5147
めっちゃ分かりやすい
まれびと5147
大学の先生より分かりやすい
しまうま
5147さん、ありがとうございます!ウレシイ!どちらの記事でしょうか?
しまうま
みなさまもぜひコメント残していってください
まれびと9305
正の外部性を内部化する為の補助金は、何故私的最適均衡点でなく社会最適均衡点に合わせて出されるのですか?補助金で外部経済が内部化されるのはわかりますが、初めにあった死荷重はどうなった?外部経済・死荷重にも重ならない分の補助金(右端の三角形)はどうなるんです?ご教授下さい…
しまうま
9305さん、ご質問ありがとうございます。ご質問3点は、正の外部性のページにある図4〜図8を順番に見ていただければ解決すると思います。1点目は図4〜図8、2点目は図4・図5・図7、3点目は図4・図7が対応しています。
まれびと4054
賃金に所得税が課されると労働時間はどうなるでしょうか?
しまうま
4054さん、コメントありがとうございます。結論からいえば、「場合による」が答えになります。合理的な労働者目線で、所得税課税は賃下げと同義です。単純にみれば、労働のインセンティブが減るので、労働時間が減ります※1。これがスタンダードな結論です。しかし、無差別曲線理論では、賃下げで労働時間が増える合理的な行動の存在を予想しています※2。労働曲線の後方屈曲性という現象です。例えば、時給5000円で月8時間家庭教師する東大生が、国に時給当たり所得税3000円を徴収されたら、生活水準を維持するために労働時間を増やすでしょう。もともと月4万円のバイト収入があったのに課税で1.6万円になったのでは、デート回数を減らすことになるのだから仕方ありません。これは所得税課税で労働時間が伸びる例です。他の
しまうま
賃金と労働時間に関する興味深い例(こちらは所得税とは関係ありませんが...)にはニューヨークのタクシー運転手の例があります。彼らは時給が上がると、労働時間を減らすらしいのです。面白いですよね。なお、※に対応する当ブログ記事は※1→「https://info-zebra.com/koyo-kettei/」、※2→「https://info-zebra.com/roudo-kyokyu/」です。
しまうま
みなさまもぜひコメント残していってください。近況とか聞きたいです
まれびと14623
おはよー
しまうま
14623さん、おはようございます!
まれびと16226
負の外部性の記事で、常体と敬体がごっちゃになっています。
しまうま
16226さん、ご指摘ありがとうございます。修正しました。
まれびと17622
「『限界費用』がかからなような財の供給曲線てどうなりますか
しまうま
17662さん、ご質問ありがとうございます。非常に面白い問いです。///結論としては「通常は供給曲線は存在しない」が答えとなります。限界費用がほぼゼロの財には、非物質的な財であるソフトウェアコード・動画・音声・画像データなどがあります。これらは通常、知的財産権で守られ、財の供給を独占することができます。したがって、独占が発生し、プライステイカーとして企業行動を捉える供給曲線は描けません。///しかし、もし完全競争がなりたつなら、価格0で水平な供給曲線が生まれます。実際に、アニメ・マンガ・アダルトビデオなどの違法アップロードサイトなどでは、価格0でコンテンツを消費することができます。知的財産権を無視した新規参入者がいると、このような結果になります。
まれびと33827
レポート課題の参考にさせていただきます。分かりやすいです!
しまうま
33827さん、ありがとうございます。お役に立ててうれしいです。
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しまうま

<自己紹介>
 万人の共通言語となる世界観を追い求めて、ブログを執筆しています。
 
<経済学について>
【可能性】万人にとってよい社会を構想する共通言語になりうる
【長所1】個別的な議論を排し、統一的に説明する
【長所2】ゼロかイチかの極論を排し、最適点を導く
【長所3】独善的あるいは自傷的な社会通念を排し、価値観や能力の多様性を重視する
【短所】体系的な知識が必要であり、難しい

しまうま経済学研究所
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