市場の安定性/ 市場均衡は本当に達成されるか?

部分均衡理論

 余剰分析によって、市場均衡需要曲線供給曲線の交点)で社会厚生が最大になることがわかりました。

 では、市場均衡から外れていた場合、自動的に市場均衡は取り戻されるのでしょうか?

 調整過程を考えることで、市場の安定性(=自動的に市場均衡が達成されるかどうか)を議論します。

1、価格調整の場合

 価格に応じて、需要と供給が決まるとしましょう。

 すると、需給の不均衡は、価格調整によって解消されようとします。

 これがワルラス的調整過程です。

 ワルラス的調整過程の場合、

  • 超過供給で値下げすると、需給不均衡が減少する
  • 超過需要で値上げすると、需給不均衡が減少する

とき、どんどん均衡へ近づいていきます。

 次の場合を考えてみましょう。

 3つの需給均衡点がありますが、そのうちワルラス安定なのは2つだけです。

 真ん中の均衡点は、少しでも価格がズレるとどんどん均衡からずれていってしまいます。

2、数量調整の場合

 数量に応じて、生産者が売りたい価格と、消費者が買う価格が決まると考えましょう。

 すると、需給の不均衡は、数量調整によって解消されようとします。

 これがマーシャル的調整過程です。

 マーシャル的調整過程の場合、

  • 超過供給価格で減産すると、需給不均衡が減少する
  • 超過需要価格で増産すると、需給不均衡が減少する

とき、どんどん均衡へ近づいていきます。

 次の場合を考えてみましょう。

 3つの需給均衡点がありますが、そのうちマーシャル安定なのは2つだけです。

 真ん中の均衡点は、少しでも数量がズレるとどんどん均衡からずれていってしまいます。

 これがマーシャル不安定です。

3、期間ごとに数量調整

 マーシャル的調整過程と同じように、「数量に応じて、生産者が売りたい価格と、消費者が買う価格が決まる」。

 ただし「数量調整は今期の需要者価格をみて、来期に行われる」と考えます。

 これが蜘蛛の巣調整過程です。

 次のように調整が行われ、蜘蛛の巣に似ています。

 蜘蛛の巣調整過程の特徴は、不安定になりやすいことです。

 ワルラス的調整過程やマーシャル的調整過程では、通常の需給曲線のパターン

  • 需要曲線は右下がり
  • 供給曲線は右上がり

では、必ず安定性を持っていました。

 しかし、蜘蛛の巣調整過程では

  • 供給曲線の傾きの絶対値>需要曲線の傾きの絶対値

のときでないと、安定性を持てません。

 価格に供給側が反応しすぎると、下のように不安定になります。

3、結論

 結論としては、市場均衡が安定的でない可能性がある

  • 需要曲線は右下がり
  • 供給曲線は右上がり
  • 単純な価格調整or数量調整

通常パターンでは市場均衡は安定と結論できます。

 やはり、基本的には市場に任せて、社会的余剰を最大化するのがよいのです。

 そして、これが有名な「神の見えざる手」というものです。