普通、投資とは株式投資やFXなどの金融資産を増やす行為のことをいいます。
しかし、経済学では、投資をより実体のある意味で使っています。
ここでは、経済学において
- 投資の意味は何か
- 投資の種類には何があるのか
- どのように投資が決まるのか
をどう捉えているのかを解説します。
1、投資とは
(1)意味
経済学における投資とは、財を供給するための機械・建物を増やすことを言います。
資本ストックの増大といってもいいです。

なお、消費と比較すると、消費は欲求を直接的に満たしてくれますが、投資は欲求を直接的には満たしてくれないという明確な違いがあります。
(2)内訳
投資は主に次の3つに分けることができます。
- 設備投資
設備投資とは、生産手段に対する投資です。
有形の機械、事務所や工場などの建物、搬送用車両などに加えて、無形のソフトウェアなども含みます。
- 住宅投資
住宅投資は、住むための建物への支出のことをいいます。
- 在庫投資
在庫投資とは、企業が売れ残っている在庫を増やすことをいいます。
これは、在庫を、将来売るための投資として自社で買っているとみなしているからです。
これは三面等価の原則と深い関わりがあります。
(3)投資の重要性
ここでいう投資とは、将来の生産能力を決定するものです。これは供給面の制約条件を決めます。
さらに、GDPにおける投資は総固定資本形成とよばれ、日本のGDPの1/4を占めます。投資が景気にもたらす影響は大きいのです。

また、投資の計算方式も投資の重要性を際立たせます。
設備を購入した企業は費用を数年間にわけて計算する一方で、設備の生産した企業は一括で儲けを得られます。
この結果、社会全体の儲けは投資量の数倍となります。
ですので、投資が景気にもたらす影響はかなり大きいと言えるのです。
2、投資の理論
投資の理論はいろいろなものがあります。
ここでは代表的な3つを取り上げました。
(1)長期の費用予測(ミクロ経済学)
ミクロ経済学では、企業は利潤を最大化すると考えます。
- (利潤)=(価格)×(生産量)ー(費用)
ですから、同じ生産量なら費用を最小化すると利潤最大化となります。
費用には、工場や車などのすぐには変えられない固定費用と、原材料や燃料などのすぐに変えられる可変費用があります。
投資は工場や車などのすぐには変えられない固定費用に関わってきます。
あまり生産しないのに工場を多く持っていてもムダですし、たくさん生産したいのに工場がすくなければせっかくのチャンスがもったいないです。
そこで、企業は将来どの程度の生産量をするかを見越して、それに合わせた費用最小な設備投資をすると考えられます。
これがミクロ経済学での考え方です。
(2)投資の限界効率理論(マクロ経済学)
マクロ経済学では、主に2つの考え方があります。
一つ目は、投資に見合う収益が得られるかという観点です。
代表格が投資の限界効率理論です。
これは投資して設備を増やすか、銀行に預けて利子で増やすかのどちらが儲かるかを比べて、決めるという理論です。
設備を増やした方が儲けられそうなら、投資します。逆に銀行に預けて利子で増やす方が儲けられそうなら、投資しません。

(3)加速度理論(マクロ経済学)
二つ目は、生産量に合わせて設備を増やすという観点です。
代表格が加速度原理です。
これは投資は予想されるGDPの増加量に比例するという考え方です。
生産が追いつかないから設備を増やそうとする行動の説明はよくできます。
ただし、加速度原理は利潤最大化との関係性が不明瞭という欠点があります。