【余剰分析】貿易は社会を豊かにするか?

 貿易は社会を豊かにするのでしょうか?

 ここでは、余剰分析を用いて分析します。

 余剰分析は、部分均衡分析需要曲線供給曲線)の評価のために使う方法です。

 なお、部分均衡を用いた貿易理論は、【部分均衡】貿易発生のメカニズムをご覧ください。

交流スペース
[wise-chat channel=”My Room”]

1、閉鎖経済の余剰分析

 閉鎖経済では、次のように消費者余剰と生産者余剰が表せます。

 総余剰はこれらの合計ですので、左の三角形の面積になります。

閉鎖経済での余剰分析

2、貿易の余剰分析

 次に貿易が開始され、開放経済に移行したと考えましょう。

(1)輸入する場合

 輸入する場合は次のように表すことができます。

 外国から安く仕入れることができるので、消費者の得ではあります。

 一方で、安く売ることになるので、企業はあまり儲かりません。

 では、消費者の得と、企業の損を合計すると、どのように評価できるのでしょうか?

開放経済での余剰分析1

 閉鎖経済のときの総余剰は左の三角形の面積ですので、これを引いてやります。

 すると、下の青い三角形が総余剰の増加となります。

 つまり、貿易によって社会全体には利益がもたらさせれたと言えます。

開放経済での余剰分析2

(2)輸出する場合

 輸出する場合は次のように表すことができます。

 外国に高く売れるので、企業は儲かります。

 一方で、商品価格が高くなるので、消費者は損をします。

 では、消費者の損と、企業の得を合計すると、どのように評価できるのでしょうか?

開放経済での余剰分析3

 閉鎖経済のときの総余剰は左の三角形の面積ですので、これを引いてやります。

 すると、下の赤い三角形が総余剰の増加となります。

 つまり、貿易によって社会全体には利益がもたらさせれたと言えます。

開放経済での余剰分析4

3、経済学者が自由貿易を主張する理由

 従来の議論では、誰が得をして誰が損をするのかで利害対立が起きて、議論は膠着状態になります。

 しかし、余剰分析をもちいると、この議論の停滞を回避できます。

 貿易が開始されると、消費者と企業で利益相反が発生する一方で、社会全体としては貿易をした方が豊かになっていることがわかるからです。

 これは自由貿易を擁護する最も単純なモデルですが、自由貿易推進が世界的な流れである背景にはこのような理論があります。

→続けて読みたい:【一般均衡】貿易は社会を豊かにするか?

タイトルとURLをコピーしました