余剰分析/ 社会厚生を量的に測る!

部分均衡理論

 需要供給価格によって一致します。

 これは、モノが欲しい人とモノを作る人がうまく噛み合っている状態ですので、社会的に望ましいです。

 では、量的には市場均衡はどの程度望ましいのでしょうか?

 また、他の方法はどの程度、理想から乖離しているのでしょうか?

 これを簡単に分析できる方法が余剰分析です。

1、社会的余剰

 ここで社会的余剰という概念を導入します。

 社会的余剰は、市場取引によって社会が得られた便益の合計です。

 これを測ることで社会厚生をはかります。

 市場には消費者と生産者がいることから、消費者余剰生産者余剰の合計とみなしましょう。

2、消費者余剰

 消費者が市場取引から得られる便益は、本来、おカネでは表せません。

 しかし、議論しやすくするために、取引から得られる満足がおカネで表せるとしましょう。(=準線形の効用関数

 すると、消費による満足は

  • 「この商品にいくらなら払ってもいいか?」という最大留保価格(これは、限界効用と等しい)

で表せます。

 たとえば、4個消費した場合は、下の赤い面積が満足の合計になります。

 なお、満足度がどんどん下がっているのは、0個から1個増やしたときの満足度は大きく、4個から1個増やしたとき満足度の伸びはそこまで大きくないからです。(限界効用逓減の法則)

 一方で、消費による不満足は

  • 【商品の市場価格】×【個数】

になります。

 不満足の合計はムラサキの長方形の面積になります。

 なんのこっちゃかと思われたかもしれませんが、実は限界効用曲線は需要曲線です。(→詳しくは需要曲線)

 ですので、需要曲線との関係で消費者の便益を表すことができます。

 消費者が取引から得られる便益の合計は、黄色の三角形になります。

 これが消費者余剰です。

3、生産者余剰

 企業が取引から得られる便益は、おカネで表せます。

 取引から得られる収入

  • 市場価格×生産数

ですので、ムラサキの長方形の面積になります。

 取引で企業が新しく失うのは、追加的な生産に必要な費用(可変費用)です。

 追加的な1個の生産に必要な費用を、限界費用と言います。

 最も単純なモデルでは、追加的な可変費用はどんどん上がっていきます。(限界費用逓増の法則、限界生産性逓減の法則

 なぜなら、いまある設備で多く生産すると生産性が下がっていくからです。

 さて、つぎの図を見てください。

 例えば、5つ生産した場合、赤の台形の部分のおカネが新たに失われます。

 これは追加的な費用の合計(可変費用)です。

 さて、企業に関する最も基本的な式は

  • 利潤=収入ー(可変費用+固定費用)

でした。

 ここで、いままでの議論を総合すると、黄色の面積が

  • 収入(ムラサキ)ー可変費用(赤)=利潤+固定費用

になります。

 これを生産者余剰と呼びます。

 ここで固定費用は不変であることを考慮すると

  • 生産者余剰を最大化する生産量=利潤を最大化する生産量

となることに気づけます。

4、社会的余剰

 いままでの議論を総合すると、市場均衡での

は次のように表せられる。

 この大きな三角形が、市場取引によって社会全体が得られる便益です。

 

5、死荷重

 ここで市場均衡以外の可能性を考えてみましょう。

(1)高価格での価格政策

 ここで生産者を守ろうと政府が、(生産者を守れるようにみえる)高価格での価格政策をしたとしましょう。

 市場価格によって、消費者余剰と生産者余剰が決まります。

 しがたって、社会的余剰は青と赤の合計面積になります。

 

 しかし、ここで市場均衡の場合を思い出してください。

 需要曲線と供給曲線と縦軸に囲まれた三角形が、市場均衡の社会的余剰でした。

 そこから、緑の三角形分も社会厚生が失われてます。

 これを死荷重といいます。

 

(2)低価格での価格政策

 ここで消費者を守ろうと政府が、(消費者を守れるようにみえる)低価格での価格政策をしたとしましょう。

 ここでも同じように死荷重が発生します。

(3)自由市場の維持が最良の政策である

 ここで重要なのは、市場均衡以外では

  • 一部の人が得をすること

はあっても、

  • 社会全体で見ると必ず損失(死荷重)が発生する

ということです。

 したがって、基本的には自由市場の維持が社会にとって最良の政策であるといえるのです。

※逆に、自由市場の維持では解決できない例外は「市場の失敗」といい、別に対策を考えます。