命題3-1:人は主観的評価が客観的評価を上回る財を取得する

【命題3-1】

・価格よりも財の効用が大きいならば、人は財を手に入れる。

・ただし、人は貨幣を十分に持っているとする。

【示唆 > 経済学】

・人は、主観的評価が客観的評価を上回る財を取得する。

・主観的評価とは、効用である。効用とは、自分一人が決める主観的な幸福度である。

・客観的評価とは、価格である。価格とは、無数の消費者と無数の生産者が決める客観的な取引基準である。

・下の画像3-1-1ならば、財Xを取得する。なぜなら、財Xは、主観的評価が客観的評価を上回っているからである。

 

【示唆 > ビジネス】

・ビジネスにおいて顧客価値(Consumer Value)に着目すべきである。

・顧客価値とは、消費者の利益と犠牲の差分を意味する。

$$顧客価値=利益ー犠牲$$

・利益は、性能の良さ、デザインの美しさ、社会的ステータス、精神的な深い満足感の総和である。

・犠牲は、価格、所要時間、必要な労力などの総和である。

・「お客様のために」「カスタマーファースト」といった標語は、顧客価値の最大化を行動規範とするためのカルチャー施策である。

【前提 > 定義】

・財(X:Goods):価値のあるもの。

・価格(P:Price):財1単位を手にいれることで支払う代償。

・効用(U:Utility):財を取得することによって感じられる幸福度。より大きい効用をもつ財は、より好ましい。

【前提 > 仮定】

仮定3-1:人は実現可能な最も好ましい意思決定を行う。

【前提 > 表現】

・貨幣を十分に持っている:予算制約には抵触しないという意味。

【導出】

 財Xの価格がp円とする。p円よりも財Xの効用が大きいならば、人は財Xを手に入れると主張する。

 p円よりも財Xの効用が大きいことは、画像3-1-1で表せ、p円よりも財Xの方が好ましい。

 貨幣を十分にもっている場合であるので、人は画像3-1-1の左右どちらの効用も実現可能である。

 人は実現可能な最も好ましい意思決定をする(仮定3-1)ために、人は財Xを手にいれる。

 したがって、価格よりも財の効用が大きいならば、人は財を手に入れる。ただし、人は貨幣を十分に持っているとする。これが示すべきことであった。