世の中には、二つの「正しさ」がある。一つは物事を正確に知っているという「事実解明的な正しさ」、一つは物事が望ましいという「規範的な正しさ」である。
それぞれの「正しさ」を巡る紛争解決の手段は異なる。事実解明的な正しさは、前提と論点の共有によって解決できる。一方で、規範的な正しさを巡る紛争は、それだけでは解決できない。
規範的な正しさを巡る紛争は、究極的には、合意可能な妥協点の発見で棚上げする事によってのみ解決される。価値観や利害関係は主体によって異なり、共有できない場合がほとんどであるからだ。