ログ=レベル・モデルについて / 回帰モデル

 「Xが1増えるとYが何%増えるのか」を知りたいならば、ログ=レベル・モデルという重回帰モデルを使う。β×100が求めたい「何%」の近似値となっているし、正確な%も計算可能だ。logYは事前に計算してあげて、あとは最小二乗法で重回帰分析してやれば、βが推定できる。

$$モデル \log_e Y=\beta_0 +\beta_1 X_1 + \cdots + \beta_k X_k+U$$

$$X_1が1増えるとYは約(100 \times \beta_1) \% 増える$$

$$正確には、100 \times (e^{\beta_1}-1) \%増える$$

 

 なぜYは(100×β)%増えるのか? それは正確にはYは(e^β-1)の割合で増え、βが0近傍では(e^β-1)≒βだからだ。

$$\log_e Y=\beta_0 +\beta_1 X_1 + \cdots + \beta_k X_k+Uより$$

$$Y=e^{(\beta_0 +\beta_1 X_1 + \cdots + \beta_k X_k+U)}である。これを$$

$$Y=f(X_1),Y+\Delta Y=f(X_1+1)とすると$$

$$増加割合=\frac{\Delta Y}{Y}=\frac{Y+\Delta Y-Y}{Y}$$

$$=\frac{f(X_1+1)}{f(X_1)}-1$$

$$=e^{\beta_1}-1となる。ところで図1より$$

$$増加割合=e^{\beta_1}-1≒\beta_1$$

 

 変数の側を処理して線形回帰モデルに帰着できるのならば、このような非線形なモデルでも《私》は線形回帰分析で処理可能だ。例えば「教育年数が1年増えると、賃金は何%上がるのか」というミンサー型賃金関数は、このようなログ=レベル・モデルの重回帰モデルで表現されている。

 

【追記】

 ミンサー型賃金関数は、次の式で表現される賃金関数である。このとき、β1は教育の収益率になる。川口大司(2011)「ミンサー型賃金関数の日本の労働市場への適用」,経済産業研究所.の15ページにて、川口はβ1=0.10と推定している。

$$\log(賃金)=\beta_0+\beta_1(教育年数)+\beta_2(社会人歴)+\beta_2(社会人歴)^2+U$$

しまうま

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