回帰係数βが説明変数Xによって変化する場合は、交互作用モデル(interaction model)を使おう。具体的には、重回帰モデルに交差項(interacton term)を入れれば、よい。その最も単純なモデルが下のモデルである。説明変数Xが1増えたときの効果は、X2=0であればβ1だが、X2≠0であればβ1とは異なる。
$$モデル Y=\beta_0+\beta_1 X_1 +\beta_2 X_2 +\beta_3 X_1 X_2+U$$
$$効果 \frac{\partial Y}{\partial X_1}=\beta_1 +\beta_3 X_2$$
交差項に入る変数がダミー変数の場合、カテゴリごとのパラメーターの差を明らかにすることができる。例えば、男ダミーDを交差項に入れることで、労働時間が年収を決めるモデルのパラメーターの男女差を測定できる。β3は男であることで増える年収、β4は男であることで増える時給を意味する。
$$基本モデル 年収=\beta_0+\beta_1 労働時間+U$$
$$交互作用モデル 年収=\beta_0+\beta_1 労働時間+\beta_3 D_{男}+\beta_4 労働時間D_{男}+U$$
$$=\beta_0+\beta_1 労働時間+D_{男}(\beta_3 +\beta_4 労働時間)+U$$

《私》が相手の立場に立って考えるとは、交差項を導入することと等しい。立場が異なれば、因果関係の構造が異なり、同じ状況を入力しても自分と異なる結果が出力されることがあり得る。例えば、女性が一生懸命に働いても、男性より稼げないかもしれない。日本人が一生懸命に働いても、月収800万円のドバイの物乞いには勝てないかもしれない。
【追記】
ドバイのあるアラブ首長国連邦(UAE)では、2018年に物乞い防止法が施行され、物乞いが違法となった。
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